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【日刊☆こよみのページ】(かわうそ@暦) [好きなもの、好きなこと]

 ■■■  ほぼ週刊 『暦のこぼれ話』 ■■■
□暦の上の季節の長さ
 処暑も過ぎたというのにまだまだ暑い日々。今年の夏は長いですねなんて言葉も耳にしますが、さて春夏秋冬の四季ってどのくらいの長さなんでしょうか?本日は、「暦の上」での季節の日数について考えてみましょう。

◇四立(しりゅう)と季節
 「暦の上での秋の始まり」といえば立秋があります。立秋は「秋立つ」という言葉。「立つ」は「出立」と同じ立つで始まりという意味です。立秋と同じく他の季節にもそれぞれが始まる日に立春、立夏、立冬があります。この「立つ」四つをまとめて四立(しりゅう)と呼びます。四立はそれぞれ二十四節気の一つで、冬至・春分・夏至・秋分のそれぞれ中間に置かれています。

◇四季の日数
 さて、暦の上での季節の始まりが四立だとすると、それぞれの「立」の間の日数が暦の上での日数となります。普通に考えれば四季のそれぞれの長さは同じで、一年の 1/4づつとなると思われますが、さてどうでしょう。今年(2012年)の立春から来年(2013年)の立春までの間の日数を確かめてみましょう。ではまずはそれぞれの「立」の日付(と時刻)を調べてみます。

  立春 2012/02/04(19時)・・・ 春 90.7日(24.8%)
  立夏 2012/05/05(11時)・・・ 夏 94.0日(25.7%)
  立秋 2012/08/07(12時)・・・ 秋 91.9日(25.2%)
  立冬 2012/11/07( 9時)・・・ 冬 88.7日(24.3%)
  立春 2013/02/04( 1時)・・ 一年365.3日


 後ろに「春 90.7日(24.8%)」とあるのは、立春から立夏までの期間が90.7日で、この期間が 1年の24.8% であるという意味です。四季が均等な長さだとするならそれぞれの長さは 1/4の25% で91.3日となるはずですが違っています。最長は夏で94.0日、最短は冬の88.7日。その差は 5.3日あります。均等ではありませんでした。

  おお、夏は94.0日と最長だ。やっぱり夏は長い・・・

 暦の上では、「今年の夏は長い」ではなくて、「今年も夏は長い」ということになりますね。

◇四季の長さが異なる理由
 四季の長さが異なる理由は、現在の二十四節気の計算方式にあります。二十四節気は元々そのままでは暦の周期と季節の周期がずれてしまう太陰暦を、季節につなぎ止める方法として考え出されたものです。この二十四節気が暦に導入されることによって、暦の一年が季節の一年と大きくずれることが無くなり(といっても年毎に見れば一月程度のずれは発生します)、太陰暦が太陰太陽暦になりました。この暦が現在いわゆる「旧暦」と呼ばれる暦です。さて、この二十四節気ですが、その計算方式には大きく二つの方式があります。一つは恒気(こうき)あるいは平気(へいき)と呼ばれる方式と、定気(ていき)あるいは実気(じっき)と呼ばれる方式です。前者の恒気は日数によって二十四節気を分割する方式、後者の定気は角度によって分割する方式です。時間による分割方式というのはどういうものかと言えば、一年の日数を単純に24分割して二十四節気の長さを決める方式です。

  一年の長さ÷ 24 = 365.3 ÷ 24 ≒ 15.2日

 と一定の長さになります。今日の話題である四季それぞれの長さはこの15.2日の 6倍(1/4 = 6/24)の91.3日で季節毎に変化することがありません。これが時間による分割法、恒気法です。これに対してもう一つ、角度によって二十四節気を決定する方式では、太陽の通り道である黄道の全周 360°を24等分した15°の角度を太陽が移動する間を一つの節気の長さとします。この方式でもきちんと24等分出来ているので問題ないはずですが、一つ問題がありました。それは太陽の動きが常に一定の速さでは無いということです。分かりやすく言うと、道路に等間隔に目印を付けて、その道路を車で走って、それぞれの目印通過の時間を計るようなものです。車が同じ速度で走れば目印と目印の間を走り抜けるのに要する時間は同じはずですが、この車があるときは時速60km/hで走り、あるときは50km/hで走っているようなものなのです。これが角度によって二十四節気を決定する定気法の一つの問題点です。

◇現在の計算方式は定気法
 現在の二十四節気の計算方式は角度によって分割した「定気法」です。このため、既に説明したとおり二十四節気の節気の期間の長さが長いところと短いところが存在するのです。こうなってしまう理由は何かというと、地球の軌道が円軌道でない(楕円軌道)と言うことです。地球と太陽の距離がもっとも近くなる近日点を通過する瞬間にもっとも動きが速く、反対に地球と太陽の距離が遠くなる遠日点通過の瞬間がもっとも動きが遅くなります。この動きが一番早くなる近日点通過はいつ頃かというとこれは、 1月の上旬。動きが遅くなる遠日点通過は 7月の上旬です。このため 1月前後の期間である冬の期間が短くなり、 7月前後の期間である夏の期間が長くなるのです。現在の暦でこの角度による定気法が採用されているのは、江戸時代の終わり頃に作られた日本の最後の太陰太陽暦である天保暦がこの方式を採用していたからです。つまりそれをそのまま踏襲したわけです。実は、日本で使われた太陰太陽暦でこの定気法を採用したのはこの天保暦だけです。それ以前はずっと恒気法でした。私としては、ずーっと恒気法を使ってくれたら、こんな「暦の上の季節」の日数のアンバランスなんて起こらなくてよかったと思うのですが。今日はちょっとアンバランスな暦の上の季節の長さの話しでした。(『 2012/08/26 号 (No.2157) 』の抜粋文)

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