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【とはいうものの お前ではなし】 [かわうそ@暦]

【とはいうものの お前ではなし】

 世の中に 人のくるこそ 嬉しけれ とはいうものの お前ではなし  《頼山陽》

 本日取り上げた言葉は、なかなか応用がききそうです。「とはいうものの お前ではなし」元は日本外史を著した頼山陽の戯歌の一部。いつもは単語一つを取り上げることの多いコトノハですが今日は、趣を変えて少々長い言葉でスタートです。

  「近くまで来る用事があったので、どうしているかなと思ってよってみた」

 思いもよらぬ時に、ぶらりと気の合う友人が訪ねてくるなんていうことがあれば、これは嬉しい。旧友に限らず人と人とが出会うことは嬉しく楽しいことが多いものです。が、中には例外も。何となく話がかみ合わない人、話していてもつまらない人はいるものです。どこがということはなくても、なんだか好きになれない人。更に困ったパターンは、なぜか先方はこちらのことが気に入っているらしく用もないのにやって来る。こちらとしても断る理由がないので内心は渋々ながら、つまらない話に付き合わざるを得ない。早く帰ってくれないかなと表情には出さないようにと気を付けながら応対しているときなどに、頼山陽のこの戯歌が頭をよぎります。また、もしかしたら私も、他の人に同じ思いをさせているかもな。なんてことも考えてしまいます。それならある意味「お互い様」。そう考えて、「少しくらいなら」我慢するかな?とはいいながら、出来ればこんな苦痛の時間はなければないにこしたことはない。こうした苦痛の時間の唯一の効用は、この話の合わない人が帰って行く瞬間の何ともいえない解放感でしょうか?嫌だな、と思っていたら「おっと、そういえば今日は時間がないんだった」とかいって、この人が案外早く退散してくれたりしたら、いいことがあった気分になったりして。

  楽しみは いやなる人の 来たりしが 長くもおらで かえりける時 《橘曙覧》

 あ、やっぱり誰しもそんな風に感じるんだな。出来ればこんな鬱陶しい人が来ないことを祈り、ついでに自分自身が誰かから「とはいうものの お前ではなし」と思われないよう、気を付けて日々を送りたいと思います。(『2018/05/11 号 (No.4241)』の抜粋文)
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