旧暦四月一日に「ワタヌキさん」の話

■旧暦四月一日に「ワタヌキさん」の話
　今日は旧暦四月の始まりの日、旧暦四月一日。旧暦では四月は夏の始まりの月、初夏の月です。そんな夏の始まる旧暦四月一日に、何か関係した話はないか？そう考えた結果行き着いたのが「四月一日さん」の話でした。（無理矢理感、満載）

　「四月一日さん」は珍しい苗字、難読姓に興味のある方にはおなじみ「ワタヌキさん」です。そう、「四月一日」あるいは「四月朔日」で「ワタヌキ」と読むのです。なぜ「四月一日」で「ワタヌキ」かというと、旧暦の四月一日は更衣（ころもがえ）の日で、寒い季節には綿を入れていた着物から綿を抜く日だったことから、「ワタヌキ（綿貫、和田貫など）」という読みの姓に「四月一日」という文字を当てたものだと言われます。旧暦では四月～六月が夏の月でしたので、四月一日が衣替えの日とされ、着物から綿を抜いて夏物に変えていたのでした。旧暦であれば四月は気候的にはまだ「夏」という陽気ではありませんが、さすがに寒い日は減って、日によっては「今日は暑いね」という言葉も聞かれる頃ですから更衣をしたというのもうなずける気がします。「四月一日」あるいは「四月朔日」は珍しい苗字ですし、普通ではなかなか読めない苗字でもありますが、それだからこそ「ワタヌキです」と名乗られたなら、忘れられないインパクトを与えられることでしょう。最初は読めない姓ではあっても、一度覚えたら忘れられない姓ですね。この「四月一日さん」あるいは「四月朔日さん」は両方合わせると全国に、200人以上いるとか。案外いらっしゃるものですね。その大部分は「四月朔日」と書くとのことで「四月一日さん」はこの「ワタヌキさん」の中でもさらに希少な存在なのだそうです。こうした稀少姓って、私のように多い順に数えて常にトップ３に入るようなありふれた姓の者にとっては、ちょっとあこがれてしまう苗字です。以上、旧暦四月一日にちなんで無理矢理の「ワタヌキさん」の話でした。なお、お暇があればこうした暦と関係しそうな難読姓を集めた

　　「暦に関係する名字・難読姓」http://koyomi8.com/reki_doc/doc_0800.html

　も合わせてお読みいただければ嬉しいです。よろしくお願いします。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（「2024/05/08 号 (No.6430) 」の抜粋文）