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初日の出の時刻の話 [かわうそ@暦]

□初日の出の時刻の話
 今年も残すところ今日一日。明日は新年です。あっという間の一年だった気がしますね。明日は年明けと云うことでもしかしたら、「初日の出を見に出かけるぞ」と云う方もいらっしゃると思いますので、「初日の出の話」を書いてみます。

◇初日の出 ・・・ どこが早いか
 初日の出の話題が出る頃になると、同時に「日本で一番早く初日の出が見られる場所は」という質問が発せられます。そこに質問が行くと云うことはこの「早さ」にみんな、興味があると云うことですね。確かに、初日の出を見に行って「あ、見えた!」という他人の歓声を聞いてから、しばらくして自分にも初日の出が見えたと云うのでは何となく悲しい。出来れば、自分が最初に歓声をあげる側に回りたいと考えるのが人情というものでしょう。ではどんなところが、日本で一番早く初日の出が見られるのかと云うとそれは「南鳥島」です。その時刻は、

   南鳥島 (北緯24°17′,東経153°59′)・・・ 5時27分
  ※与那国島(北緯24°28′,東経123°00′)・・・ 7時31分

 おまけに書いた与那国島は何かというと、多分日本で一番遅く初日の出をむかえる場所。南鳥島と比べると、初日の出は 2時間以上も遅いです。両者の差は何かというとこれは位置。南鳥島は日本の東の端、与那国島は西の端。東に行くほど初日の出の時刻は早くなるようです(って、当たり前だ!)。

◇初日の出の時刻は、位置の違いでどれくらい変わるのか
 では位置が変化するとどれくらい初日の出の時刻が変わるのかを調べてみましょう。Web こよみのページの日出没計算で経緯度を変えて試してみると、

   A地点 (北緯35°,東経135°)・・・7時 7分(基 準)
   B地点 (北緯35°,東経140°)・・・6時47分( -20分)
   C地点 (北緯30°,東経135°)・・・6時55分( -12分)

 もったいつけずに結論から言えば、「東に行くほど」&「南に行くほど」初日の出の瞬間は早まります(と言っても、これは日本付近限定の話。東と南へ向かうほどと云うことですから、もっとも効率よくと云うのなら、

   方位 118°(だいたい東南東)を目指せ!

 と云うことになります。この 118°とは何かというと、初日の出の昇る方向。ちなみに北を 0°として東回りに計った角度がここで云う「方位」です。初日の出の方角は、本当は場所によって少々変化するのですが、北海道の納沙布岬でも与那国島でもその方向でもその変化は122°~115°の間ですから、およそと云うことで言えば日本中、 118°と考えて問題ないでしょう。ちなみに、この方角へ向かうとどれくらい初日の出の時刻が早まるのかというと、20km進む毎に約 1分早まるのでした。「え、20kmでたったの 1分?」なんて、落胆しないで頑張って。ちなみにこの結果、離島等を除いた日本国内で一番早く初日の出が見える場所は千葉県の犬吠埼と云うことになります。その時刻は 6時46分です。

◇高いところだと初日の出は早く見える
 高いところに昇ると、遠くまで見通せるという理由で同じ場所なら高いところの方が初日の出は早く見えます。背の高い人はちょっと有利。どれくらいは早く見えるようになるのかというと、これは高さの平方根に比例します。目安としては、

  100mで 2分 , 500mで 4分 ,  1000mで 6分 ,  3000mで11分

 と言ったところ。先程離島を除けば「犬吠埼が日本で一番早い」と書きましたが、この高さを考慮すると犬吠埼より富士山頂の方が早く初日が昇ります。その時刻は 6時42分です。

◇初日の出の時刻は毎年違う?
 正確に計算すればもちろん毎年違います。が、「初日の出を見に行こう」というレベルの話に「秒単位」までを問題にはしないとすれば、初日の出は毎年同じと言えます。毎年この時期になると「初日の出の時刻を教えて下さい」というような質問が寄せられるのですが、一度知ったら、来年も再来年も使えます。毎年尋ねなくともいいのに。以上、こんなことを頭に入れて、「初日の出」を眺めてください。日の出前は一日で気温が一番下がる時間帯。初日の出を眺める(拝む)ために出かける際には、十分に防寒対策をしてください。そして、初日の出までの待ち時間の雑談の話の種として、今日の話を思い出していただけたら嬉しいです。え、私ですか?うーん、どうしよう。気が向いたらということにしておきます。

                          (「2022/12/31 号 (No.5936)」の抜粋文)
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2022-12-30 [twitter投稿]



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サネカズラ(実葛)! [ヘッダー画像]

221230no18.JPG
別名:ビナンカズラ (美男葛)
2022.12.30撮影
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新年の火 [かわうそ@暦]

□新年の火
 今年も残すところ、あと二日。皆さん、年越しの準備は出来ましたか?あと二日で年越しとなると言うことで本日は、新年に使われる「火」の話を採り上げてみることにしました。

◇「火」との関わり
 人間の定義の一つとして、火を使う動物というものがあります。このような定義が出来るほど、人間の生活と火とは密接に結びついたものでした。日々の食事の煮炊きに、暖をとるに、明かりに、危険な野獣や時には悪霊を遠ざけるために、火は使われてきました。そうした、生きて行く上でなくてはならない火を特別なものと捉えていたためでしょうか、新しい年を迎える行事の中には、この「火」に関係するものがあります。その内容を見てゆくと、「火」に対する様々な思い、考え方の違いがあって面白いなと思えましたので、本日はこの「新年の火」の話を取り上げてみようと思ったのでした(う、暦とは無関係の話だな・・・)。新年の火にまつわる行事や風習を見てゆくと、大きく分けて、次に掲げる三つの型に分かれるようです。

  ・新年には新しい火を用いる
  ・旧年からの火を引き継いで用いる
  ・特別に大きな火を焚く

◇新年には新しい火を用いる
 新しい年になれば、新しい清い火を熾してこれを使い続けるというもの。それまで用いていた火種ではなく、きりび(「鑽火」または「切火」)と呼ばれる新しい火を熾します。「きりび」は檜(ひのき)のような堅い木で作った火鑽臼(ひきりうす)と呼ばれる板に、これも堅い木質の山枇杷(やまびわ)などで作った、火鑽杵(ひきりぎね)と呼ばれる棒を揉み込んで熾した火で、神聖な清らかな火とされます。新年を迎えるに当たって、この方式で鑽火を熾す鑽火神事を行い、これによって生まれた清い火を、参拝者に分ける神社もあります。京都の八坂神社で大晦日から元日にかけて行われる「朮祭(おけらまつり)」は、そうした行事の一つで、参拝者は鑽火を火縄に移して持ち帰り、この火種から熾した火で、新年の雑煮を作ります。鑽火は、木と木の摩擦から生まれた新しい火。まだ何物にも触れず、穢されたことのない清浄な火と考えられたのでしょう。鑽火神事などはその清浄な火によって新しい一年を迎えようとういうものです。ちなみに朮祭の朮(おけら)は生薬や蚊遣の材料となる植物で、本殿前で鑽火を点火した鉋屑(かんなくず)に混ぜられています。このため、鑽火を移した鉋屑からは芳香が漂うそうです(残念ながら、嗅いだことがない)。

 ※火打石と火打金とを打ち合わせて出した火も新しい火、「きりび」です。こちらは漢字で書けば、「切火」の方でしょうか。こちらも、新しい清浄な火と考えられます。

◇旧年からの火を引き継いで用いる
 新しい火を熾して新年を迎えるという考えに対して、こちらは、それまでの火を受け継ぎ絶やさないようにして、新しい年を迎えるというものです。こちらは大晦日の晩に、囲炉裏に正月中持つように大きな樫(かし)等の堅い材質の木をくべ、火が絶えないようにしたそうです火を絶やさないようにくべる木片(というには大きいが)を世継榾(よつぎほだ)と呼ぶそうです。今では、囲炉裏自体がなくなりましたので、それとともに廃れてしまった行事ですが、火の永続性を願う行事だと考えられます。人間生活に欠かせない火の永続を願うと云うことは、その家が代々絶えることなく続いてゆくことを願った行事のようにも思えます(「世継榾」というくらいですからね)。

◇特別に大きな火を焚く
 新しい火、旧い火という分類にはそぐわないですが、もう一つ、年越しの夜には盛大な火を焚くという風習もありました。これも、囲炉裏があった時代の話ですが。年越しの夜には、屋根裏まで届くほど盛大な火を焚き、その火が大きければ大きいほど、縁起がよく、福が呼び寄せられると云われたそうです。火は、不浄なものを焼き祓い、浄める力を持つものですから、盛んな火の力によって、家中を浄め、新年を迎えるという意味のある行事だったと考えられます。

◇今の人間は「火を使わない動物」?
 新しい火を用意するにしても、旧い火を引き継ぐにしても、いずれも火を絶やさないようにして暮らしていた人間の歴史を新年を迎える行事の中に見ることが出来る気がします。火を大切に扱ってきたご先祖様達の姿が浮かびます。今はどうかと考えると、どの行事も「昔のもの」になりつつあります。何と言っても、家の中で「炎」を目にする機会がなくなってきましたから。照明で火を使うことはなくなりましたし、暖房器具も、炎を目にすることの出来るものは少なくなっています。今はまだ、煮炊きにガス等の火が使われていますが、それすらも電気に取って代わられたという家も多くなったことでしょう。この分で行くと「火を使う動物」だった人間も、その大部分が「火を使わない動物」になっていってしまうのかな?この調子だと、そのうちに「新年の火」の話なんて書いても、火ってなんですか?なんていう質問が舞い込むようになるかもしれませんね。そうならないうちに、この話を書いておいてよかった・・・のかな?

                          (「2022/12/30 号 (No.5935) 」の抜粋文)
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今日(12/30)の夜空に見える月は【上弦の半月】です [かわうそ@暦]

◆今日(12/30)の夜空に見える月は【上弦の半月】。
上弦の月は日が暮れる頃は、真南の空の高いところにあり、日付が切り替わる頃に、西の地平線に沈んでゆきます。旧暦日による呼び名では【八日月】です。

◆お月様の基礎データ
・上弦の半月の瞬間は 12/30 10時20分 (月齢は 6.6)
 ※上弦の半月とは、月と太陽の黄経の角度差が90度となる瞬間です。
・月出:12/30 11時43分 月没:12/31 0時18分 (東京での時刻)
・南中(真南に見える瞬間):12/30 17時56分 (東京での時刻)
・南中時の月と地球の中心距離は 381500 km (平均距離の 0.99倍)。

 月は平均距離付近にあり、見かけの大きさも平均的です。お月様、見えるでしょうか?見えるといいですね。(「お月様のお知らせメール」の抜粋文)
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【深淵に臨んで薄氷を踏むが如し】 [かわうそ@暦]

【深淵に臨んで薄氷を踏むが如し】(しんえんに のぞんで はくひょうを ふむがごとし))

 [詩経小雅小旻「戦戦兢兢、如臨深淵、如履薄氷」]深い淵をのぞきこむ時のように、また薄い氷の上を歩く時のように、こわごわと慎重に行動すること。転じて、危険に直面していることの形容。《広辞苑・第七版》

 論語の中に、詩経のこの言葉を引用している箇所があります。孔子の後継者となった曽子が臨終の床にあるときに弟子達に語りかけた言葉です。

  曽子、疾あり。門弟子を召して曰く、
  予が足を啓け、予が手を啓け。詩に云う、
  戦々兢々として深淵に臨むが如く、薄氷を履むが如しと。
  而今よりして後、吾免るるかな、小子。

 曽先生が病気で重体に陥られたので、門人達を呼び集めておっしゃられた。夜具をのけて私の足を見よ、手を見よ、どこにも傷はないだろう。親が生んでくれたこの身体を無闇に傷つけることのないように、これまでの年月、深淵に臨むかのように、薄氷を踏むかのように注意して生きてきた。今から後はもうそうした心配から解放される。そうだろう、君たち。曽子は孔子から「参や魯」と評された人物です(「参」は曽子の名前)。「魯」は魯鈍(ろどん)のこと、愚かで鈍いという意味です。先生が弟子を評した言葉と考えるとちょっと酷すぎる気もしますが曽子自身も、自分が他の兄弟弟子達ほど明敏ではないことは自覚していたようで、孔子の教えを自分が独自に発展させようとは思わなかったようです。しかし面白いのは、真面目一途で孔子に魯鈍と評された曽子とその弟子の系統が結局、孔子の学問を世に残すことになったと言うことでしょうか。

 ※孔子 → 曽子 → 子思 → 孟子 という系統。

 曽子が臨終の床で弟子達に、この詩経の「深淵薄氷」を引いて語ったというこの話にしても、親からもらった身体を傷つけないように、いつも気にして戦々兢々として生きてきただなんて、いくら真面目なことだけがとりえだと自分のことを思っていたのだとしても、なんともつまらない、息のつまるような人生じゃないですか。と、論語を最初に通読した二十歳の頃には思ったものです。ですが不思議なことにこの「つまらない話」が頭の中に引っかかったまま、何年たっても記憶の中に残っていました。そして頭の隅っこに残っているこの言葉を思い出すたび、近頃はなにか暖かなものを感じるようになりました。弟子達に傷一つない手足を見せて、「もう安心してあの世へ行けるよ」という言葉に、愚直に生き通した曽子の人柄と、曽子が見続けてきた人生の深淵を垣間見る気がするからでしょうか。臨終の床で「今から後は心配から解放されるよ」と、そんな言葉を残すことがはたして自分に出来るかなんて、考えるようになったからでしょうか。今解ることは、曽子と違って沢山の傷を手足に残している私は、その傷の数以上に親不孝な子であったということだけです。

                          (「2022/12/29 号 (No.5934) 」の抜粋文)
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スイセン(水仙)! [ヘッダー画像]

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2022.12.29撮影
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