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「うるう秒」がなくなる? (その1) [かわうそ@暦]

■「うるう秒」がなくなる? (その1)
 既にニュースなどでご存じの方もいらっしゃると思いますが、近い将来に現在の「うるう秒」という仕組みが廃止(正しくは変更?)されることになりました。暦と密接に絡み合った時系の話と言うことで、本日の暦のこぼれ話では、この話を取り上げることにしました。なお、「うるう秒」と文中に平仮名が連続する名前が出てくると読みにくいことがありますので、これから先は漢字を用いて「閏秒」と表記させていただきます。

◇「日時分秒」の関係
 閏秒廃止の話に入る前に、いろいろ話をしておかなければいけないことがありますので、順を追って話を進めます。時の流れを測る長さの単位についてです。時の長さを測る場合に用いる単位を長い順に並べれば、次のようになります。

  年 (月) 日 時 分 秒

 長い方2つ、「年 (月)」に関しては、ひとまず置くとして、日~秒の関係を考えると

  日÷24 = 時 → 時÷60 = 分 → 分÷60 = 秒

 という関係にあります。私たちのご先祖様が、時を測るということを始め「日時分秒」という時の長さの単位を考えたときには、このように長い単位をより細かな単位に分けて行きました。ということで、「日時分秒」という単位の中で最初に生まれたのは「日」です。「日」という単位は、おそらく古い時代は日出や日没といった特徴的な現象を観測することで生まれたのでしょう。日出~翌日の日出までの長さが「1日」という具合に。ただ、これだと季節によって同じ1日でもその長さが大分違ってしまうということには、程なくご先祖様達は気づき、日出や日没に代わって「太陽の南中」という現象(南半球だったら北中)を基準に1日の長さを決めるようになっていったと考えられます。太陽の南中から南中までの間の長さは、実際に太陽を観測して得られる1日の長さなので

  真太陽日 (または、視太陽日)

 と呼ばれます。真太陽日の長さは、地球の自転と公転の二つが組み合わさって決まるもので、後者の地球の公転運動の影響によって若干の季節変動が生じてしまいますが、その差は数秒~十数秒程度と小さいため、しばらく(数千年間)は問題になりませんでした(気付かなかった?)。ここで押さえておいて欲しいのは、この真太陽時という1日の長さ(時間)は、太陽の南中の瞬間という観測によって得られる「時刻」と次の南中の起こる「時刻」との間の長さとして得られるものだということです。つまり、「時刻」が先に得られて、後に「時間」が得られるということです。さて、基準となる「日」という単位が出来ると、社会生活の必要性からより短い時の長さの単位が必要になってきて時の長さの細分化が始まります。「明日、会いましょう」と約束するとしても、1日中待っているのはつらいですから、「明日の○○時に会いましょう」と限定して約束したくなりますからね。こうして

  日÷24 = 時 → 時÷60 = 分 → 分÷60 = 秒

 という細分化が行われました。この時の単位の細分化ですが、細分化した時の長さの単位には、これと結びつく、これと行った天文学的な事象が有るわけでは無いので単位の細分化は概念先行で行われたものと推測されます。(「分」に関しては、日出時に太陽が半径分登るのに要する長さなんていう話も伝わっていますが、後付けの説明じゃないかなと私は考えています)。時はこうして細分化されていったのですが、とはいっても時分秒に結びつくような明確な事象がありませんでしたので、最近(数百年くらい前)までは厳密な運用はされていなかったようです。特に、短い方の分や秒は、特殊な分野以外では使われることも無かったと思われます。話のついでなので、ここまで説明してきた「日時分秒」の関係のような概念的な時間の仕組みを「Time system」といいます。これに対して、何らかの具象的な現象(太陽の南中と南中の間隔のような)と結びつけられ計測が可能な時の長さを「time scale」といい、日本語ではどちらも「時系」と訳されます(ややこしいこと)。ここまで説明した、日時分秒という仕組み(Time system)が出来ても、当初は「日」以外に time scale を持つものはなかったのでした。「時分秒」がtime scale を得ることが出来る様になるのは、「時計」という物が発明されて以後のことです。

◇時計の発明と時計が「時」に与えた影響
 概念的には存在していたけれども、具体的に測ることの出来なかった「時分秒」は、時計の発明によって計測可能な time scale となりました。例えばここに1分間で砂が落ちきる砂時計があったとします。1分は概念上の時系である Time system では1日の 1/1440(=1/24/60) の長さですから、この砂時計をある日の太陽が南中した瞬間からひっくり返し始めて1440回、神業的な速さでひっくり返し続けると、1日が過ぎて次の太陽の南中が観測されることになります。現実に、まったく遅滞なく1440回も砂時計をひっくり返すなんて事は出来ないでしょうけれど、出来たとして考えてください。あるとき、この1440回をやり遂げたら、ぴったり太陽の南中から南中の間の長さとなったなら、この砂時計は正しく1分を刻んでいることになります。良かった。これに気をよくして、別にある日に同じことをしてみたら・・・あら? 1440回ひっくり返した後、少しだけ遅れて太陽が南中した。なぜでしょう?この例でいうと、原因は真太陽日は季節によって変化する長さだったからです。どこかの時点の真太陽日を測って、ぴったりその1/1440の砂時計が作れたとしても他の季節では、ずれが生じてしまうわけです。そうしたことから、現在は真太陽日の長さの平均値である平均太陽日を1日の長さの単位としました。この場合、「1分は1日の1/1440である」という仕組み、Time system は変更せず「日」という time scale を変えることにしたわけです。「時計」という時の長さを時刻と時刻の間の長さとしてではなく、決まった長さの「時」「分」「秒」を積算する形で表すことが出来る装置が出来たことで、それまで当たり前だと思っていた1日の1/1440が1分といった関係は、それほど単純でないことが解ってきて、太陽の南中から南中という、地球を基準とした時間と、時計という装置を基準とした時間との関係を考える必要があることが分かってきました。と、「閏秒」の話に入る以前の説明だけで、大分長くなってしまいましたので、本日の暦のこぼれ話はここまでといたします。続きはまた明日(か、明日以降・・・私のがんばり次第)。皆さん、しばらくお待ちください。

                          (「2022/12/10 号 (No.5915) 」の抜粋文)
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別名:ギョリュウバイ(檉柳梅)
2022.12.09撮影
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KAGAYA (@KAGAYA_11949) [twitter投稿]


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