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大潮の時期 [かわうそ@暦]

■大潮の時期
 本日は、こよみのページに寄せられるよくある質問の中から一つ。「大潮の時期」について書いてみます。

◇大潮(おおしお)ってなに?
 海の干潮と満潮差の大きさは約半月の周期で大きくなったり小さくなったりします。この差が大きい時期を大潮、小さい時期小潮(こしお)と呼びます。海の干満は月と太陽が地球上の物体に及ぼす潮汐力によって生み出されるものが主なものです。この他にも低気圧や高気圧、風あるいは海流なども干満には影響を与えますが、これはあくまでも例外的なものなので、潮汐と云えば、月と太陽の潮汐力によって起こるものと考えても、大きな間違いとは云えません(月と太陽の潮汐力で生み出される潮汐は「天文潮」とまとめて呼ばれます)。さて、月と太陽の潮汐力と云いましたが、その力の比率はというと

  月:太陽 ≒ 1 : 0.5

 となります。お月様は太陽よりずっと小さいですけれど、地球にずっと近いので太陽の約二倍の力を地球に及ぼしています。

※ちょっと補足
 潮汐力の大きさは、及ぼす天体の質量に比例し天体までの距離の3乗に反比例します。太陽の質量は月の質量の約2700万倍ですが、地球と太陽の距離は地球と月の距離の約400倍ですから 27,000,000 ÷ (400 × 400 × 400) ≒ 0.422ということで、おおざっぱに言えば前述の 1:0.5 という比率になります。以上、ちょっと補足でした。さて、月と太陽からの潮汐力は地球から見た月と太陽が一直線に並ぶ時期には、月と太陽からの力が合成されて

  月の力+太陽の力 = 1 + 0.5 = 1.5

 と普段より大きくなったように見えます。この時期が「大潮」。月と太陽が地球から見て一直線に並ぶ時期というと、新月と満月の時期ということになりますので、昔から新月と満月の時期は「大潮」と考えられてきたわけです。これに対して、地球から見た月と太陽の角度が90度になる時期は、潮汐力がさほど強くありません。この時期を小潮と呼び、月の満ち欠けで云えば半月の時期にあたります。

◇大潮の時期はぴったり、新月と満月の時期?
 大潮の時期は新月と満月の時期と云いましたが、現実の海の干満の様子を調べて得た大潮の時期と新月や満月の時期は完全には一致しません。海の干満から見た大潮の時期は海水の粘性やその質量、海底との摩擦など様々な影響を受けるため、新月や満月の瞬間から大体1~3日ほど遅れて最大になります。もちろん、普段使う「大潮」という言葉は「海の干満の差の大きな時期」ですので、ある一瞬だけを指しているわけではなく、何日かの幅を持つものと考えるのが普通です。ですから、「大潮」といった場合、新月、満月の後~3日後の日を中心とした数日間を指していると考えてください。この考え方からすると、本日2019/10/24は新月の4日前ですから大潮の時期は、次の新月の10/28の近辺の 2019/10/28~30 頃ということになります。

◇大潮、小潮の時期は世界共通?
 ここでやっと、本日のタイトルにもなった疑問の答えに到達です。既に説明したとおり、大潮や小潮は新月、満月、半月といった月の満ち欠けの状態と密接に関係しています。そしてある瞬間の月の満ち欠けは世界中共通ですから、大潮、小潮の時期も世界共通と考えることが出来ます(前述したとおり、海底との摩擦などの影響で多少地域性もありますが、その差はほんのわずかです)。ここしばらく、日本列島には台風が接近、上陸が続いております。台風中心に近い部分では気圧が下がることと、風による吹き寄せ効果などによって、海水面が普段より高い「高潮」と呼ばれる現象が発生しやすく、この高潮と大潮の時期が重なると、満潮の時間帯には海に近い場所では思わぬところまで海水が侵入して、浸水するといったことがあります。今年は、まだまだ台風に注意しないといけない日が続きそうですから、海の近くの方は、大潮の日付なんかにもご注意くださいね。(「2019/10/24 号 (No.4772)」の抜粋文)

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