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鰻と蒲焼きをめぐる話 [かわうそ@暦]

□鰻と蒲焼きをめぐる話
 今日は土用丑の日(2023/07/30)ということで、昨日辺りから頻繁に鰻と蒲焼きのニュースが取り上げられます。ここは時流に乗ることにして私も鰻と蒲焼きをめぐる話をすることにしました。

◇今年の土用丑の日は1回だけ
 まず暦らしく土用丑の日の話から。今年は7/30の1回だけが、土用丑の日ですが、年によっては土用丑の日が2回ある場合もあります。2回の土用丑の日がある場合は最初を「一の丑(いちのうし)」、二度目を「二の丑(にのうし)」などと呼んで区別します。二の丑まである年だと、鰻にとっては、一の丑の日に生き延びてももう二の丑という恐怖の日がやってくるわけですね。その点では今年は恐怖の日が1回だけで良かったですね、鰻さん(1回でも十分災難かな?)。こうしたことが起こるのは土用の期間が18(たまに19)日であり、丑の日は十二支ですから12日に一度めぐってくるわけですから、当たり前といえば当たり前です。また珍しいことでないことは最近の二の丑のある年を見ればよく分かります。

  ○2020, ×2021, ○2022, ×2023, ○2024, ○2025, ×2026, ○2027

 頭に「○」をつけた年は二の丑のある年。8年のうち5回が二の丑まである年ですから、割合としては6割以上。二の丑の日の方が多いのが分かります。鰻も大変だこと・・・。

◇関東では蒲焼き、関西ではマムシ?
 鰻の蒲焼きについては、「江戸の背開き」「京阪の腹開き」、蒸しが入るか入らないか、タレをつけて焼くのか否かなど調理法が違うそうですが、そうしたことに無頓着な私には「よくわかりません」ので、よくわかる人に尋ねるか、御自分で実地にお試しください。さて、鰻と言えば蒲焼きですがこの「蒲焼き」という言葉はなぜ生まれたのでしょうか? 語源辞典をひくと

  ・カマボコヤキ(蒲鉾焼き)の略。ガマノホ(蒲の穂)に似ているから
  ・その焼いた形が白樺などの樺の皮に似ているから

 が登場します。最初の蒲の穂に似ているというのは、昔は開かずに鰻を丸のままぶつ切りにして串に刺したからとか。なるほどそれなら蒲の穂に似ているというのはよくわかります。しかし、この状態だと鰻の生前の姿があまりにリアルに思い浮かんで食べにくい気がします。

 関西のマムシの語源は、

  ・蒲焼きを御飯の間にはさんで「間で蒸す」からマムシ
  ・御飯と蒲焼きを混ぜることから、「マブス」が転じたもの

 等と言われます。私は出身が福島県で系統から言えば関東系の蒲焼き。姉が大阪に嫁いで土用の丑の日に店に沢山の「マムシ」が並んでいるというのでビックリして電話してきたことが有りました(随分昔の話になりましたが)。もちろん私の出身地域でマムシといえば毒蛇の「蝮(まむし)」を連想しますから、恐ろしい。それに言われてみれば蝮も鰻も形が似ている(蝮の方が鱗が見えるだけ、魚っぽいかな?)・・・想像すると不気味なので、この辺で止めときましょう。

◇土用の鰻の歴史
 土用の鰻というと、よく万葉集の大伴家持の和歌、

  石麻呂に吾物申す夏痩せに吉しと云うふ物ぞむなぎ取り食せ

 が取りざたされますが、実際に土用の鰻として鰻が食べられるようになるのは江戸時代も後半「安永・天明の頃《明和誌》」からだとか。安永・天明の頃というとAD1764~1781年頃と言うことになりますから、ざっと 260年程前。そんなに古い行事ではありません。そんなに古い行事でないこの「土用丑の日」の鰻が急速に広まった裏には、幕末の万能学者、平賀源内の活躍があったという説があります。なぜこの日鰻を食べるのかに関しては、五行説に基づく呪術的な意味もあるとか。なかなか面白い話がありますが、長くなりそうなのでここから先はWeb こよみのページの「暦と天文の雑学」にバトンを渡して、以下の記事をお読み下さい。

  土用丑の日(ウナギの日?) http://koyomi8.com/reki_doc/doc_0700.html

 土用丑の日をお勉強した後は、美味しくウナギを食べて元気に夏を乗り切って下さい。私は鰻が苦手なので、土用餅の気分で、大福でも頂きます。

                          (「2023/07/30 号 (No.6147) 」の抜粋文)
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