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旧暦と季節の一致 [かわうそ@暦]

旧暦と季節の一致
 今日は新月、ということは旧暦では今日から新しい月、今回は三月、弥生の月ということになります。そしてまた本日は、二十四節気の清明でもありました。清明は三月節気ですから、節切の暦でもこの日から三月となります。この、こよみのこぼれ話では、何回も何回も書いてきたことですが、月の朔望の周期によって暦月を区切る旧暦は、あまり季節に合った暦ではありませんので、これを補正するために考案されたものが二十四節気です。節切の暦は、これをさらに一歩進めて、二十四節気の節気で暦月を区切ったもの。こうなると月の満ち欠けとは関係のない、太陽暦ですね。こちらは季節とはよく合うので、農耕などにはこちらの日付を目安にすることがあったようです。旧暦は一応、二十四節気の中気によって暦月の順番を固定する暦なので、二十四節気で区切られた節切の暦とはつかず離れずの関係にあるのですが、その二つの暦が、今回は三月の始まりで一致しました。つまり今回はめでたく、旧暦と季節が一致したということですね。なんとなく気分がよいではありませんか。

◇節切は「二十四節気区切」
 さて、旧暦については皆さんよくご存じのことと思いますが、節切りの暦については、ご存じないという方もいらっしゃると思います(一般社会では、知っている人のほうが少ないでしょう)。もう本日は何度も使ってしまっていますが、遅ればせながら節切りの暦について説明しておきます。節切りとは、二十四節気の「節で区切ること」です。で、この節で区切って月の番号を割り振れば、これが節切りの暦となります。二十四節気には「節」と「中」の二つがあり、これが交互に並んでいます。本日は「清明」ですが、こちらは「節」のほうで、「三月節」とされます。本日から半月が過ぎて、4/20になると、「穀雨」がやってきますが、こちらは「中」で、「三月中」と呼ばれます。節切りの暦では、その始まりの節によって、暦月が決まります。清明は三月節なので、この日から始まる節切りの月は「三月」となります。ついでに、旧暦の月初めは新月の日と決まっていますが、旧暦の暦月名を決めるのは二十四節気の「中」のほうとなっており、新月から始まる旧暦の暦月の間に含まれる二十四節気の中、今回は三月中である穀雨がこれに該当するので、この月が旧暦の三月となります。「なんだ、節だ中だといっても結局同じじゃないか」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。今回はたまたま、新月の日が清明の日でもあったので、同じになっていますが、もし新月が 3日後だったりすると、今日は節切りの暦では三月でも旧暦ではまだ二月ということもあるのです、というか、こんな風にずれているのが普通です。旧暦と節切りの暦はの始まりの日は、平均すればほぼ同じになります(どちらも二十四節気と結びついているので当たり前といえば当たり前です)が、個々の年、個々の月を見ると結構ずれています。最も大きくずれると、その差は1か月近くにもなってしまいます。

◇なぜ二つの暦が出来たのか?
 どんどんついでの話になってしまいますが、ではなぜ二つの暦が出来たのかについても考えてみましょう。その最大の理由は、月の朔望周期で暦月を区切る暦では暦日によって正しく季節の移り変わりを表現できないことに気が付いたからです。かといって、慣れ親しんできた月の朔望周期に基づく暦をやめられないのでこれを補うために、節切りの暦なんて言うものを考案したのでしょう。節切りの暦は二十四節気だけで決まりますから、月の満ち欠けには無関係。そして、二十四節気は太陽の位置だけで決められるものですから、節切りの暦は、完全に「太陽暦」なのです。世の中には、「旧暦は日本の季節をよく表した暦」なんておっしゃる方が今もっていらっしゃるのですが、だったら、節切りの暦なんて考えだす必要もなかったでしょうね。そして、旧暦を補うために考え出された節切りの暦が完全に太陽暦であることを考えると・・・、季節変化を読み取るには太陽暦が適しているってことがよくわかります。さてさて、なんだかんだと書きましたが本日は、旧暦の三月の始まりであり季節を表す節切りの暦でも三月の初めの日。旧暦と季節が一致しためでたい日。外は快晴で春らしい穏やかな日。こんな日は仕事なんかせずに、花見にでも出かけたいですね~。(「2019/04/05 号 (No.4570) 」の抜粋文)
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