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【花に嵐】 [かわうそ@暦]

【花に嵐】
 (→)「月に叢雲花に風」に同じ。【月に叢雲花に風】(つきにむらくも はなにかぜ)世の中の好事には、とかく障害の多いことのたとえ。 《広辞苑・第五版》

 世の中の好事には障害が多いという事ならいつでも使える言葉ですが、桜咲くこの時期だとより具体的なイメージが浮かぶ言葉です。花に嵐という言葉を聞くと私は、于武陵(うぶりょう)の勧酒という詩を思い出します。

  勸君金屈巵  君に勧む金屈巵
  満酌不須辞  満酌辞するをもちいざれ
  花発多風雨  花ひらいて風雨多し
  人生足別離  人生別離に足る

 「花開けばこれを散らす風雨があるように、出会いの歓びにはいつか来る別離の悲しさも潜んでいる。だから今こうして向かい合った私の勧める杯を断らないでくれ」なんていわれたら、付き合い酒なんて真っ平御免という私だって、杯を受け取ってしまうでしょうね。「俺のついだ酒が飲めないのか」なんていう言葉よりよほど効果的です。ですがふと気が付くとこの詩には花と風雨という言葉はあっても、「花に嵐」がありません。それなのになぜ、花に嵐でこの詩を思い浮かべるのかなと考えたら、その理由は、

  コノサカヅキヲ受ケテクレ
  ドウゾナミナミツガシテオクレ
  ハナニアラシノタトヘモアルゾ
  「サヨナラ」ダケガ人生ダ    于武陵「歓酒」井伏鱒二訳

 の意訳の文面が頭にあったからのようです。「花発多風雨」か「花に嵐」か、どちらが好きかは人それぞれの判断にまかせるとして、いつか来る花との別れ人との別れを思って、今という瞬間を大切にしてゆきたいですね。(「2019/04/06 号 (No.4571) 」の抜粋文)
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