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半月の瞬間について [かわうそ@暦]

■半月の瞬間について
 日刊☆こよみのページの毎日の暦データを見てゆくと、時々新月とか、満月とか、はたまた半月とかの表示があります。本日は上弦の半月です。ちなみに漫画「鬼滅の刃」が大人気となったため、本日Google の検索窓で上弦と入れたら、検索ワード予測一覧に

  上弦の壱
  上弦の鬼

 という言葉が登場しました(2番目と5番目でした)。私も読みましたし、映画の「無限列車篇」も映画館で見ましたので、こんなキーワードで検索する人が大勢いることは理解出来ます。なお「上弦の月」が辛うじて1位でした(よかった)。さて、本日の上弦の月の瞬間は日本では11時32分ですので後2~3時間後ということになります。先日、こんな説明をしたところ言い方がよくなかったのか、こんな質問をされました。「『日本では11時32分』ということは、日本と外国とでは半月となる瞬間は違うのですか?」おっと、そうきたか・・・。先に書いた説明は「今回の上弦の月の瞬間は日本時では11時32分です」といっておけばよかったですね。反省、反省。

◇新月や満月の天文学的な定義とは
 このメールマガジンの読者の皆さんならば先刻ご承知のことでしょうが半月の瞬間は世界同時です。この問題は半月だけでなく、新月や満月についても同じで、世界同時です。この新月や満月、半月は現在の天文学的な定義によれば世界中同時に起こります。ただ、その瞬間を表す時刻(日付も同じ)は、使用している標準時が国によって違うので「今回の上弦の月の瞬間は日本時では11時32分です」といっておけばよかったと思ったわけです。つまり日本時(日本標準時)では11時32分ですが、他の国の時刻は違うよと言うことで。例えば日本と9時間の時差のある英国であれば、今回の半月は「2時32分である」となるわけですが、時刻の違いはあくまでも時差の分の違いであって、半月という状態となる瞬間は世界中同時というわけです。現在の、新月・上弦半月・満月・下弦半月の天文学的な定義は、地球中心から見た太陽中心と月中心の黄経差が

   0度 なら 新月
   90度 なら 上弦半月
  180度 なら 満月
  270度 なら 下弦半月

 となる瞬間と定義されています。黄経とは、地球から見た太陽の動く面(黄道面)を基準として考えられた黄道座標の経度のことです。黄道面は太陽から見た場合、地球が太陽の周りを巡るときたどる公転面であるということが出来ますから、黄道座標とは、地球の公転運動に基づいて組み立てられた座標系ということが出来ます。この定義で特に注意して欲しいところは、太陽中心と月中心の黄経の差を測る場所が「地球中心」で有ることです。実際に地球の中心から見る何てことは出来ませんので、この定義は計算上の話ですが、その計算上の基準となるのは地球の中心という一点だということを覚えておいてください。つまり、日本であるとか米国であるとか、英国であるとかといった「地球上の場所」とは関係ありません。このように地球の中心から見た月と太陽のなす角で決まる新月・半月・満月ですから、地球上の位置とは関係なく決まると言うことです。

◇同時だけれど、同じ時刻ではない
 若干厄介なのは、現象としての半月の瞬間は同時なのですが、これをそれぞれの国で使っている時刻で示すと、違った時刻となるため、半月という現象そのものまで、国によって(地球上の位置の違いという意味で)異なるのだと誤解されることがよくあるのです。当たり前の話なのですが、「私の当たり前とあなたの当たり前は違う」ことが多多あるので、こうした誤解や、こうした誤解にもとづく視質問は尽きません。毎度繰り返される質問という物厄介ですが、質問が一つも来ないよりはましかな? と「こよみのページ」の管理人としては感謝すべきですかね?

                          (「2023/03/29 号 (No.6024)」の抜粋文)
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