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【ぶらんこ】 [かわうそ@暦]

【ぶらんこ】
 (一説にポルトガル語から) 2本の綱か鎖で吊り下げた横木に乗って、前後に揺り動かす遊具。
 ゆさわり。ふらここ。鞦韆(しゅうせん)。春の季語。 《広辞苑・第六版》

 公園などに必ず備え付けられている遊具、ブランコ。誰でもブランコにまつわる思い出の一つや二つはあるはずです。このおなじみの遊具ブランコは俳句の季語にもなっています。「ブランコ」が季語? 季語としたらその表す季節は?結論から云えばブランコの示す季節は「春」です。ブランコと春、この間にどんな関係が有るのでしょうか。どうやらブランコが春の季語となる過程はただの遊具としての存在ではなくて、農耕儀式に用いられたものとしての側面が作用しているようです。例えばインドでは冬至の日に女性がブランコにのり、太陽の再生を促す行事があったといいますし、古代のギリシャでも農耕の始まる頃に女性がブランコに乗って、これを動かすという行事があったそうです。中国や韓国にも似たような行事はあり、中国では清明の頃(正しくは、冬至から数えて105日目)に行われる寒食(かんしょく)という行事の一つとして女性がブランコに乗ったといいます。また韓国では女性の成人の祝いとして端午の節供にブランコに乗る行事が有るそうです。面白いのは、この話ではブランコに乗るのが皆「女性」だと云うことです。女性は生命を生み出す性ということで、農耕儀礼では実りの担い手とされることが多々ありますが、そうしたことから類推するとブランコの行事の数々も、こうした豊穣を祈る儀式の一つとして行われてきたのではないでしょうか。中国では、唐の玄宗皇帝が仙人になった気分にさせてくれる遊具としてブランコを「半仙戯(はんせんぎ)」などと呼び、好んだことから、唐の時代以後は宮廷には必ず供えられたようになった遊具でした。春の季語として定着したのは、蘇軾の有名な漢詩、「春宵一刻値千金」の詩が「鞦韆(しゅうせん=ブランコ)院落夜沈沈」で締めくくられている事によるといわれています。今日は、昭和の日で休日という方も多いはず。豊穣を祈る儀式、中国の宮廷に備えられた半仙戯から現代の公園に揺れるブランコまで、その歴史に思いをはせながら、晩春の休日、公園のブランコで子供に戻ってみるのもいいかもしれませんね。

                          (「2023/04/29 号 (No.6055) 」の抜粋文)
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