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2021-07-04 [twitter投稿]



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独立記念日に「建国記念の日」の話 [かわうそ@暦]

■独立記念日に「建国記念の日」の話
 今日の記念日にあるとおり、本日はアメリカ合衆国とフィリピン共和国の独立記念日です。それぞれ、1776年と1946年のことなので、本日(米国の場合時差があるのでもう少しだけ先ですけどね)が建国から245周年と75周年の記念日ということになります。

  両国の皆さん、独立記念日 おめでとう

 1776年の米国にしても245年前のことですから、独立に関する様々な資料がのこっていて、建国を記念する日がはっきりわかっていいですね。その点で言うと、私たちの暮らす日本の建国の日がいつなのか、これがね、そんなにすんなりとはわかりませんから、はっきりと建国の日の年月日が判る国って羨ましい・・・。え、2/11が日本の「建国記念日」じゃないの?おっしゃる通りで、一応現在は、「建国記念の日」という祝日があって、それは2/11なのは事実ですが、これが「建国記念日」かというと、いろいろ問題があって、「建国記念の日」という祝日の日付として、この日と決まるまでにはいろいろと、すったもんだがありました。それはひとえに、日本の建国日がいつかなんて、本当のところは判らないからなのです。いいな、アメリカやフィリピンは建国の日がはっきりと判って。

◇現在の「建国記念の日」の日付
 国民の祝日に関する法律には

   建国をしのび、国を愛する心を養う

 というのが建国記念の日の意味として書かれています。国民の祝日に関する法律には、それぞれの祝日の日付と意味が書かれておりその書き方は次の例のようになっています。

 元日 一月一日
  年の始めを祝う。

 成人の日 一月の第二月曜日
  おとなになつたことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます。

 建国記念の日 政令で定める日(2月11日)
  建国をしのび、国を愛する心を養う

 おや、なんだか建国記念の日だけ、他と書きぶりが違う・・・この条文を読んだだけでは、建国記念の日が何月何日に当たるのかが判りません。他の祝日の多くは、元日のようにその日付が直接書き込まれています。また成人の日のように「一月の第二月曜日」のような日付が移動するルールが書き込まれていますから、カレンダーに並んだ日付にそのルールを適応すればその祝日が何月何日かを知ることが出来ます。ところが、この建国記念の日だけは、「政令で定める日」となっていて、この建国記念の日の日付を定めた政令に当たらないと日付が分かりません。この政令は

 昭和四十一年政令第三百七十六号
 建国記念の日となる日を定める政令
 「内閣は、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)第二条の規定に基づき、この政令を制定する。国民の祝日に関する法律第二条に規定する建国記念の日は、二月十一日とする。」

 というものです。政令の名前が「建国記念の日となる日を定める政令」とそのものズバリ。それだけのための政令です。なぜ、建国記念の日だけ、こんな回りくどい日付の決め方をしたのでしょうね?実は、現在の建国記念の日となっている2/11という日付は、明治憲法下の祝祭日としては、「紀元節」という初代天皇とされる神武天皇の即位を記念した祝日でした。この点では「なんだ、昔の祝日の焼き直しか」という気もしますがそう簡単に「焼き直し」は出来ない事情がありました。慣れ親しんだ祝日であった紀元節ですので、戦後に新しい祝日の候補リストを作った際にも当然これが入っていたのですが、紀元節は GHQによって、国家神道の復活に繋がるものとみなされ、その復活は認められなかったのでした。GHQ の統治が終了した後も、戦前の紀元節の日付をそのまま建国記念の日の日付にすることについては賛否が分かれ、なかなか決着がつかず、祝日とすることが出来ませんでした。戦前の体制への批判、反省などもあってか建国記念の日の候補となった2/11という伝説上の神武天皇の即位日を根拠とした日付に抵抗感のある人々が多かったことも、建国記念の日の祝日制定が遅れた理由だと考えられます。その結果、「建国記念の日」を祝日にするけれど、日付は決めきれないので別途ということになってしまったようです。

◇憲法記念日の祝日化は昭和41年
 「建国記念の日」が祝日化されたのは昭和41年。[体育の日」と「敬老の日」、そして「建国記念の日」がまとめて祝日法に書き加えられました。「建国記念の日」の祝日化自体についても、やはり抵抗感があったためでしょうか、「体育の日」と「敬老の日」という祝日化することについて誰一人反対することが無さそうな二つの祝日と同時に祝日化を図られています。なんだかどさくさに紛れて祝日化してしまったかのようです。現在の「建国記念の日」の日付は、日本書紀に書かれた初代の天皇とされる神武天皇の即位の日付を、現在の暦の日付に置き換えたものです。ですが、この日本書紀に書かれた日付については、歴史的事実とはとても思えないことから、そんないい加減な日付を「建国記念の日」の日付としてよいのかという批判はやはり根強く残りました。確かに日本書紀の記述は伝説的というか神話的なもので、歴史的事実というのはちょっと無理がありますから「事実」を問題とする方にとっては、そんな日付を認められないことだったのでしょう。しかし、考えてみれば日本のように長い年月をかけ、自然発生的に生まれた国家の生まれた日が伝説的で有るのは致し方なく、国民の多くがその伝説を知っていれば、建国を祝う祝日の日付が歴史的な事実である必要はないという至極常識的な考え(私はそう思う)によって、旧来の紀元節と同じ日付に落ち着いたようです。そのため、この日は建国の日ではなくて、建国を記念する日なのでした。アメリカ合衆国やフィリピン共和国のように、明確にその建国の日(独立記念日)の資料が残っているのは、こんなめんどくさい日付の問題を抱える日本の暦好き(誰のこと?)には羨ましいですが、そんな記録も残らないほど昔から存在し続けていた国であるということは、他の国々から見ると羨ましいものなのかもしれないなとも思います。最後は、ちょっとだけ「優越感」に浸りつつ、再度アメリカ合衆国の皆さんとフィリピン共和国の皆さんにお祝いの言葉を残して本日の暦のこぼれ話を終了することにいたしましょう。本日は独立記念日、おめでとうございます!(「2021/07/04 号 (No.5391) 」の抜粋文)

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