そろそろ梅雨明け? 暦の上の出梅の話 [かわうそ@暦]
□そろそろ梅雨明け? 暦の上の出梅の話
今週に入って、現在私の住んでいる近畿地方では「そろそろ梅雨明け?」という話が聴かれるようになってきました。そんな時期なんだな・・・と思ったところで、本日は暦の上での出梅の話です。
◇暦の上での「出梅」
気象庁からの梅雨明け宣言はまだのようです(私の住んでいる近畿地方基準で話を進めさせてもらいます)が、暦の上ではどうでしょうか?現在の国民生活に係わる暦の情報は基本的に国立天文台が作成し公表しています。その暦情報の中には「入梅」と言う文字が登場します。暦の上の梅雨入りの日です。暦の上の梅雨入りの日の計算方式はいくつかありますが、国立天文台が発表する現在の計算方式では、太陽の中心の視黄経(黄道座標とよばれる天球の座標の経度方向の角度)が80°を通過する日となっていて、今年(2023年)は6月11日が、その「暦の上の入梅」の日でした。さてさて、暦の上の梅雨入りがあるのであれば、これに対応する暦の上の梅雨明けの日がありそうですが、国立天文台が作成した暦要項には「入梅」の文字はあるのですが、これに対応する梅雨明けを意味する「出梅」の文字はありません。あらら、なんだかアンバランス。では、暦の上には「出梅」は無かったのかというと、古い暦には「出梅」の日があった時代もありました。暦の上には暦と季節の動きを結びつける季節点が幾つもあります。有名なところは、二十四節気がそれです。今回取り上げようとしている出梅やこれと対となる入梅などもまたそうした暦と季節をつなぐ季節点の一つです。こうした季節点の多くは現在は太陽の黄道上の位置で決められていて、既に書いたとおり、入梅なら太陽の視黄経が80°となる日といった具合です。現在は、ダイレクトに太陽の黄経と結びつけて求めることが多いのですが昔は、二十四節気との関係で表すことが多く、「入梅は『芒種』以後の最初の壬(みずのえ)の日」のように決めることが普通でした。二十四節気は太陽の位置に基づいて決定されているものですから、二十四節気を基準にすると言うことは、間接的にやはり太陽の位置から求めていると言うことが出来ます。「最初の壬(水の兄)の日」辺りには、梅雨だから水の気と関係が有るに違いないという、五行説の考えが垣間見えます。さて、「出梅の話」なのに入梅の話ばかりしておりますが、その理由は出梅は入梅に比べるとあまりぱっとせず、定義もはっきりしないからです。入梅は太陽視黄経が80°の日とされているのですが、出梅はというと、はっきりした定義は無さそうです。入梅があって出梅がないというのもバランスの悪い話ですので、何か手がかりはないかというと、昔の出梅の定義が有りました。それは「出梅は『小暑』以後の最初の壬の日」というものです。入梅が芒種以後の最初の壬の日でしたから、出梅が小暑以後の最初の壬の日というのは、なかなか判りやすい。後半の「最初の壬の日」のために年ごとの入梅や出梅の日の太陽視黄経は同じ値にはならなくなってしまいますが、それでも平均すると入梅はだいたい現在の定義である太陽視黄経80°あたりとなります。出梅もこれと同じ規則だと考えれば「小暑以後の最初の壬の日」の太陽視黄経は平均すると 110°程になります。これを現代の暦の上の出梅の定義だと考えて、この日を計算してみると、
2023年の太陽視黄経が 110°となる日 → 7/13
となります。昨日でした(しまった、昨日書いておけばよかった)。ちなみに、古式ゆかしく「小暑以後の最初の壬の日」を計算すると、7/13となります、先の太陽視黄経が 110°方式とぴったり一致します。なかなかいい具合じゃありませんか。
◇今年の出梅の日
現在の出梅の日にあたる気象庁による梅雨明けの日の発表は、近畿地方ではまだですが、夕方のTVのお天気キャスターさんによれば「今週中には」とのこと。暦の上の出梅の日と、気象庁の梅雨明けの日、今年はかなり近い感じかな?
(「2023/07/13 号 (No.6130) 」の抜粋文)
今週に入って、現在私の住んでいる近畿地方では「そろそろ梅雨明け?」という話が聴かれるようになってきました。そんな時期なんだな・・・と思ったところで、本日は暦の上での出梅の話です。
◇暦の上での「出梅」
気象庁からの梅雨明け宣言はまだのようです(私の住んでいる近畿地方基準で話を進めさせてもらいます)が、暦の上ではどうでしょうか?現在の国民生活に係わる暦の情報は基本的に国立天文台が作成し公表しています。その暦情報の中には「入梅」と言う文字が登場します。暦の上の梅雨入りの日です。暦の上の梅雨入りの日の計算方式はいくつかありますが、国立天文台が発表する現在の計算方式では、太陽の中心の視黄経(黄道座標とよばれる天球の座標の経度方向の角度)が80°を通過する日となっていて、今年(2023年)は6月11日が、その「暦の上の入梅」の日でした。さてさて、暦の上の梅雨入りがあるのであれば、これに対応する暦の上の梅雨明けの日がありそうですが、国立天文台が作成した暦要項には「入梅」の文字はあるのですが、これに対応する梅雨明けを意味する「出梅」の文字はありません。あらら、なんだかアンバランス。では、暦の上には「出梅」は無かったのかというと、古い暦には「出梅」の日があった時代もありました。暦の上には暦と季節の動きを結びつける季節点が幾つもあります。有名なところは、二十四節気がそれです。今回取り上げようとしている出梅やこれと対となる入梅などもまたそうした暦と季節をつなぐ季節点の一つです。こうした季節点の多くは現在は太陽の黄道上の位置で決められていて、既に書いたとおり、入梅なら太陽の視黄経が80°となる日といった具合です。現在は、ダイレクトに太陽の黄経と結びつけて求めることが多いのですが昔は、二十四節気との関係で表すことが多く、「入梅は『芒種』以後の最初の壬(みずのえ)の日」のように決めることが普通でした。二十四節気は太陽の位置に基づいて決定されているものですから、二十四節気を基準にすると言うことは、間接的にやはり太陽の位置から求めていると言うことが出来ます。「最初の壬(水の兄)の日」辺りには、梅雨だから水の気と関係が有るに違いないという、五行説の考えが垣間見えます。さて、「出梅の話」なのに入梅の話ばかりしておりますが、その理由は出梅は入梅に比べるとあまりぱっとせず、定義もはっきりしないからです。入梅は太陽視黄経が80°の日とされているのですが、出梅はというと、はっきりした定義は無さそうです。入梅があって出梅がないというのもバランスの悪い話ですので、何か手がかりはないかというと、昔の出梅の定義が有りました。それは「出梅は『小暑』以後の最初の壬の日」というものです。入梅が芒種以後の最初の壬の日でしたから、出梅が小暑以後の最初の壬の日というのは、なかなか判りやすい。後半の「最初の壬の日」のために年ごとの入梅や出梅の日の太陽視黄経は同じ値にはならなくなってしまいますが、それでも平均すると入梅はだいたい現在の定義である太陽視黄経80°あたりとなります。出梅もこれと同じ規則だと考えれば「小暑以後の最初の壬の日」の太陽視黄経は平均すると 110°程になります。これを現代の暦の上の出梅の定義だと考えて、この日を計算してみると、
2023年の太陽視黄経が 110°となる日 → 7/13
となります。昨日でした(しまった、昨日書いておけばよかった)。ちなみに、古式ゆかしく「小暑以後の最初の壬の日」を計算すると、7/13となります、先の太陽視黄経が 110°方式とぴったり一致します。なかなかいい具合じゃありませんか。
◇今年の出梅の日
現在の出梅の日にあたる気象庁による梅雨明けの日の発表は、近畿地方ではまだですが、夕方のTVのお天気キャスターさんによれば「今週中には」とのこと。暦の上の出梅の日と、気象庁の梅雨明けの日、今年はかなり近い感じかな?
(「2023/07/13 号 (No.6130) 」の抜粋文)