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2023-03-23 [twitter投稿]



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【サクラサク】 [かわうそ@暦]

【サクラサク】
 受験の合格を知らせる合格電報によく使われる言葉。合格の「サクラサク」に対して不合格の場合は「サクラチル」が使われる。そろそろ、あちらこちらから桜の開花宣言のニュースが聞こえてくるようになりました。現在住んでおります舞鶴市は、緯度は低いのですが冬には雪がよく降る場所なので、春の訪れは太平洋側の地域に比べてやや遅いのですがそんな舞鶴でも、桜が咲き始めました。朝、外に出てみると家の周囲に何本も並んでいるソメイヨシノの老木の枝に花が咲いていました。昨日の朝に見たときには、この土日か、あるいは来週早々くらいかなと、その開花の時期を予想していたのですが、昨日も暖かかったせいもあってか、たった一日で開花していました。この分だと、この辺りでも明日、明後日はお花見をする人々の姿を見ることが出来そうです。私もお花見したいんだけど・・・。本日は、桜の開花を目にした朝ということで「サクラサク」という言葉を採り上げてみました。

 暦の上にも七十二候に「桜始めて咲く」という候があります。今年(2023)では3/26がその候の始まり。実際の花でも暦の上でも「サクラサク」の季節となったわけですが、この時期にはもう一つ、私たちをどきどきさせてくれる「サクラサク」がありますね。そう、受検の合格を知らせる「サクラサク」です。「サクラサク」は合格を知らせる電報の代表的な文言です。今なら、携帯電話にE-mailにLINEにと、いろいろな連絡方法がありましたがそうしたものがなかった時代、少しでも早く合否の結果が知りたいという時に使われたのが電報でした。この今では昔懐かしい「合格電報」は、元々は大学生サークルのアルバイトとして始められたものだそうです。(『スープのさめない距離』 道浦俊彦著より)

 1957(昭和32)年の朝日新聞には、早稲田大学の入試の際に新宿電報局が出張して合格電報(合否電報?)の受付をしたことが記事になっているそうです。既に書いたとおり元々は学生たちの「私設電報局」がこの合格電報を打っていたわけですが、誤報なども多かったことから、大学側と電電公社(当時、現 NTT)が話し合って設置を決めたものだとか。これを見ると学生による合格電報の始まりはこの年より更に前ということになりますから合格電報は1950年代前半には既にあったようです。なお、この1957年の新聞に採り上げられた電報局の出張サービスで用いた合否を表す言葉は「オメデトウ」と「ザンネン」だったそうです。意味は分かりますが、ちょっと身も蓋もない表現ですね。前述の『スープのさめない距離』によれば同時代の東京大学の不合格電文は一次試験は「ウメノハナチル」で、二次試験は「サクラチル」だったとか。とすると、「サクラサク」の発祥は東京大学の合格電文だったのか?この辺りはつまびらかではありません(ご存じの方、いらっしゃれば教えてください)。ウメと云い、サクラと云い、合格発表の時期と受験生の心情を汲んだなかなか良い表現。きっと受け取った人達にも好評だったのか、この時期に片仮名で「サクラサク」と書けば、合格を表す言葉だと分かるほど広くこの言葉が普及しました。「サクラサク」以外にも、季節やその大学に因んだ合否電報の名言が幾つもあります。一例を示せば

  「オチャ カオル」・「コノメドキ マテ」(お茶の水女子大)
  「トラ トラ トラ」・「チンボツ」(東京商船大)
  「コマクサノハナ ヒラク」・「シナノジハ ユキフカシ」(信州大)
  「ダイブツヨロコブ」・「ダイブツノ メニ ナミダ」(奈良教育大)
  「クジラ ツレタ」・「リョウマノ メニ ナミダ」(高知大)

 などなど。現在は、メールやインターネットですぐに合否が知らされる時代となり、合格電報も過去の物となってしまいましたが、この季節に「サクラサク」・「サクラチル」の文字を見れば、過ぎし青春の時代を思い出す方も多いのでは?

                          (「2023/03/23 号 (No.6018)」の抜粋文)
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