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「今夜は満月」の憂鬱 [かわうそ@暦]

□「今夜は満月」の憂鬱
 今日は満月の日。そんな日の朝からなんですが、こよみのページの作者としてはこの満月の日になると時折陥る「満月の日の憂鬱」について書かせて頂きます(かわうそ@暦の愚痴かな?)。

◇「満月」と「満月の日」
 日刊☆こよみのページの読者の皆さんにとってはもう既に「常識」だと思われますが、現在の「満月」と呼ばれる状態は、太陽と月のなす角が 180°となる瞬間です。正しくは、この 180°は太陽や月などの太陽系内の天体の位置を表すのによく使われる黄道座標と呼ばれる座標における経度の角度の差が 180°になるという意味で、緯度方向の角度の差もあるので、本当に 180°となるときばかりではありませんが、その点はご承知おき下さい(いつも本当に 180°となるなら、満月のときはいつでも月食が起こっているはずです)。天文学的には、地球中心からみた太陽と月の黄経差が 180°となる瞬間を満月と呼びます。そして、この満月の瞬間を含む日を、「満月の日」と呼んでいます。一般に、新聞などに「満月の日」とあれば、それは天文学的な満月の瞬間を含んだ日だと考えてよいでしょう。満月の瞬間を含む日を満月の日と呼ぶということは、広く行き渡っているようで、この点についてもは疑問に思われることはありません。

◇「満月」と「満月の夜」
 満月と満月の日の関係は解りやすいのですが、「満月と満月の夜」の関係となるとちょっと悩みます。実例で考えてみましょう。次の日時に満月の瞬間を迎えるばあいの「今夜」とはいつか。

  (ア)○月●日 19時 (満月の日は○月●日)
  (イ)△月▲日 3時 (満月の日は△月▲日)
  (ウ)□月■日 12時 (満月の日は□月■日)

 (ア)の場合は簡単。満月の日である○月●日 に「今夜は満月」と言っても、どこからも文句は出ないでしょう。問題は(イ)(ウ)。

 (イ)は満月の日である△月▲日に「今夜は満月」といったとすると「満月は昨日の晩じゃないの?」と言われるかもしれません。日付は変わっていますが、夜が日没から次の日の日出までと考えるなら「満月の夜」は▲日の前日の夜を指すと考える方が自然です。おそらく、私達が日常に使う「今夜」という言葉には、今日の午前 0時から日の出までの間の、いわゆる「未明」の期間は含まれないと考えられます。この状態で「今夜は満月」と表現するのなら、その日は多分満月の日、▲日の前日が適するのでは(▲日の前日の日没から▲日の日出の間に満月の瞬間があるという意味で)。

 (ウ)はどうかというと、これは更に困ります。満月の瞬間は昼ですし、この状態では満月の瞬間には月は地平線の下にあって、空が暗くなったとしても月を見ることは出来ません。月が見えなければいけないと限定してしまったら、この満月は日本においてはないことになってしまいますが、そんなことはなくて、「満月の日」は□月■日となりますが、「満月の夜」はどう考えたらよいでしょうか。こうなると「満月の夜」が■日のことなのか、その前日のことなのか、にわかには判じがたい。悩ましいです。

◇「満月の日」と「満月の夜」
 厳密に満月の瞬間を含んだ夜だけを「満月の夜」と云うのだとすると(ウ)の例のように、そもそも満月の瞬間が夜でないこともあるので、上手く表現できません。では「満月の日」の夜(その日の日没から翌日の日出の期間)を「満月の夜」といえば(イ)のように実際の夜の期間と1日ずれてしまう場合があって難しい。いろいろ、悩ましいことがあるのですが、だからといって、この辺を決めておかないと「日刊☆こよみのページ」や「お月様のお知らせメール」、あるいはWeb 「こよみのページ」の上での表現にブレが生じてしまってよろしくないので、多少の違和感を残しながらも、私の場合は満月の瞬間を含む日を「満月の日」とし、満月の日の日没から翌日の日の出までの夜を「満月の夜」とするとしています。(ウ)はともかく、(イ)のように未明に見える月は、前日の夜をして満月の夜とした方がよいのではとも思うのですが、そうすると「新聞の満月の日と1日ずれてます!」と必ず、クレームが付くので、ここは割り切って長いものに巻かれることにしています。こんな風に、いろいろ考えた上で「割り切って」書くことにはしているのですが、それでも「今夜は満月」と書く度に、少しだけ憂鬱な気分に陥る、かわうそでした。本日は満月の日ですが、満月の瞬間はというと(ウ)のパターン(満月の瞬間は今日の12時42分です)。ああ・・・。

◇おまけ・・・「お月様のお知らせメール」とTwitterでの表現
 「割り切って書いています」なんて書いておきながらなんですが、このメールマガジンの姉妹メールマガジン「お月様のお知らせメール」や、Twitterでの満月のお知らせツイートでは(イ)のような場合は今日の夜から明日の朝にかけての夜空に昇る月は満月のような、回りくどい説明を本文中に加えて前日に最近は書くようになりました。やはり満月の日そのままで書くと「違和感」が拭えませんからね。割り切ったつもりでも、なかなか割り切れない「今夜の満月」の憂鬱です。

                          (「2023/06/04 号 (No.6091) 」の抜粋文)
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今日(6/4)の夜空に見える月は【満月】です [かわうそ@暦]

◆今日(6/4)の夜空に見える月は【満月】。
月は日暮れの頃に東の空から昇り、翌日の夜明け頃に西の地平線に沈んでゆきます。新月から数えて15日目の十五夜の月と満月は同じものと考えられがちですが、十五夜と満月が同じ日になる確率は50%以下。案外はずれています。(今回も一致しませんでした)
旧暦日による呼び名では【十六夜の月】です。

◆お月様の基礎データ
・満月の瞬間は 6/4 12時41分 (月齢は 15.5)
 ※満月とは、月と太陽の黄経の角度差が180度となる瞬間です。
・月出:6/4 19時19分 月没:6/5 4時49分 (東京での時刻)
・南中(真南に見える瞬間):6/5 0時 5分 (東京での時刻)
・南中時の月と地球の中心距離は 368300 km (平均距離の 0.96倍)。

 月は平均より 16700km近く、見かけの大きさはいつもより少し大きいです。お月様、見えるでしょうか?見えるといいですね。(「お月様のお知らせメール」の抜粋文)
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