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日の出が一番早い日は? [かわうそ@暦]

□日の出が一番早い日は?
 一年で一番昼の時間が長くなるのは夏至(今年は6/21)だということは皆さんよくご存じのことと思います。東京での夏至の日の昼の長さは14時間35分で、確かに一年で一番昼の長い日になっています。

◇日の出が一番早い日は
 こよみのページを開いていると、夏至の頃になると必ずと言っていいほど、「夏至の日より、日の出が早い日があるのはなぜか?」という質問があります。これと同じ質問(というか、裏返しの質問)は冬至の頃にもあり、こうした質問が来ると、ああ夏至(冬至)なんだなと思います。こよみのページにとっては年中行事のようなものです。ところによって日付はちょっと変わるのですが日本付近だと大体夏至の10日程前の方が、夏至の日よりちょっとだけ日の出の時刻が早いです。判りやすくするため、計算地点は日本標準時の基準とされる東経135.00°上で行うことにします(明石市付近として、東経135.00° 北緯 34.65°の経緯度で計算してみました)。6/13と、6/21とついでに6/26の日出・南中・日没時刻及び、昼時間(日出~日没までの時間)を並べてみます。

 6/13 日出 4:46 南中 12:00 日没 19:14 昼時間 14:28
 6/21 日出 4:47 南中 12:02 日没 19:17 昼時間 14:30 (←夏至の日)
 6/29 日出 4:49 南中 12:03 日没 19:18 昼時間 14:28

 確かにちょっとだけですが夏至より日の出が早い日、日没が遅い日があります。でも昼時間はやはり夏至の日が一番長い(まあ、いずれもちょっとの差ですけど)。

◇時計の一日と自然の一日
 さて、こうしたことが起こる理由は「均時差」というものがあるためです。以上、回答終わり。めでたしめでたし。均時差については、Web こよみのページに冬至は一年で一番日の出遅い日か?・・・

  均時差の話 ⇒http://koyomi8.com/reki_doc/doc_0508.html

 に詳しく書いてありますので興味のある方はお読み下さい(結構量があります)。詳しい内容はそちらの記事にまかせるとして、既に書いた東京での日出、南中、日没の時刻を見ただけでもある程度理由がわかります。注目するべきなのは日出没の時刻ではなく、南中時刻です。南中時刻とはこの場合、太陽が真南を通過する瞬間なのです。その昔は太陽が真南に来た瞬間から次にまた真南に戻ってくる周期を「一日」としていました。もし現在もそうだとしたら、南中時刻は恒に同じ時刻になるはずで、今回の計算例のように日本の標準経度である東経 135°の線上では正午丁度となるはずです。ところが南中時刻が正午(12:00)になっているのは、上記の3例では 6/13のみで、6/21,6/29の南中時刻は正午ではありません。これは「太陽が真南に来てから次に再び真南に来るまでが一日」という「一日」の長さが変化するということで、これが均時差の生まれる理由です。この南中時間を基準にして、昼時間を 1/2すると 1/2前が日出、 1/2後が日没となります。つまり日出没の時間が夏至の日より早くなったり遅くなったりするのは、この基準になる南中の時刻がずれてしまっているために起こる現象なのです。太陽が真南に来て再び真南に戻ってくるまでの一日の長さを自然の一日(これを「真太陽日」あるいは「視太陽日」と言います)としますと、この自然の一日の長さは季節変化します。この変化は一日ごとに見ると最大でも28.5秒ほどで小さい値ですが、塵も積もれば目立つほどのさに成長します。この結果、夏至より日の出の早い日が生まれるのです。現在私たちは、最大でも28.5秒でしかない一日の長さの違いですらはっきり判る正確な「時計の一日」に基づいて暮らしています。そのため正確な時計の一日を基準に、自然の一日を眺めて夏至の日より、日の出の早い日がある。不思議だ。と考えるようになっています。太陽の南中から南中までが「一日の長さ」と単純に考えていた自然の一日で暮らしていた時代には、こうした「不思議な現象」自体がおこらなかったのです。正確な時計とその時計の示すいつも同じ一日の長さを手に入れた故の「不思議な現象」に首を捻るなんて、なんだかちょっと皮肉な話ですね。

                          (「2023/06/19 号 (No.6106) 」の抜粋文)
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