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秋分の日に「祝祭日」の話 [かわうそ@暦]

■秋分の日に「祝祭日」の話
 本日は、秋分の日。祝日です。「先祖をうやまい、なくなった人をしのぶ」というのが、国民の祝日に関する法律に記された秋分の日の意味です。政教分離の立場から彼岸会(ひがんえ)という仏教行事の名前は登場しませんが、内容を見れば「秋の彼岸の中日」が祝日になったということは一目瞭然ですね。さて、この「秋分の日」は、明治憲法の時代には、別の名前の祭日でした。その祭日の名前は、「秋季皇霊祭」。明治憲法下における祝日法に相当する法律「休日ニ関スル件」には「秋分の日に皇室が歴代天皇・皇后・皇族などの皇祖の神霊を祀る儀式」と、その意味が書かれています。この説明のとおり、皇祖を祭る行事ですが、元々は宮中でも行われた彼岸会を祭日としたものです。彼岸会は先祖を祭る仏教行事ですが、国家神道を推し進める上では仏教行事であっては困るので、秋季皇霊祭などという名前を付けて、仏教行事に神道行事の衣を着せたといったところのようです。ちなみに、現在の「秋分の日」は祝日。これに対して、「秋季皇霊祭」は祭日でした。祝日と祭日、よく似た言葉で、私などは、ついうっかり「祝祭日」なんていう言葉を使ってしまうことがあるほどです。言葉としては祝い祭る、祝祭の日ということでは、祝祭日でも間違いではないでしょうが、法律の上では区別して使われていました。

 前述した「休日ニ関スル件」(昭和2年3月4日の改訂後のもの)には

  1/ 3  元始祭
  1/ 5  新年宴会
  2/11  紀元節
  4/ 3  神武天皇祭
  4/29  天長節
 10/17  神嘗祭
 11/ 3  明治節
 11/23  新嘗祭
 12/25  大正天皇祭
  春分日 春季皇霊祭
  秋分日 秋季皇霊祭

 という祝祭日が並んでいます。ご覧頂くと分かりますが、祝祭日の名称の終わりが「祭」で終わっているものが、7つ(元始祭、神武天皇祭、神嘗祭、新嘗祭、大正天皇祭、春季皇霊祭、秋季皇霊祭)あり、これは「大祭日」と呼ばれていました。この大祭日以外の4つ(新年宴会、紀元節、天長節、明治節)は祝日です。大祭日と祝日ですので、両方まとめて「祝祭日」というわけです。違いは何かというと「祭」という名の休日は、神道の祭礼の日。祝日はその他の目出度い日と区別することが出来ます。では現在の「国民の祝日に関する法律」ではどうなっているかといえば、この法律の名のとおり、みんな「祝日」。戦後は国家神道は否定されていますから、神道の祭礼の日という位置づけの祭日はなくなったということです。とはいいながら、現在の祝日を考えると、いくつかの「かつての大祭日」に相当する日が祝日として残っております(皇室内では今もこの日には、昔と変わらず、祭礼を行っているのでしょう)。本日、「秋分の日」はこうして祝日として生き残ったかつての大祭日、秋季皇霊祭の日でしたので、ふと思い立って「祝祭日」の話を書いてみました。(「2022/09/23 号 (No.5837)」の抜粋文)

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2022-09-23 [twitter投稿]



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