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月遅れのお盆です [かわうそ@暦]

□月遅れのお盆です
 本日は、8/13。月遅れのお盆の入りです。この日に合わせて帰省という方も大勢いることと思います。今年の場合、カレンダーを見ると帰省のスタートは8/11からかも知れませんが。

◇昨今のお盆の日付
 日刊☆こよみのページをはじめたばかりの頃(2007年)、読者の方に「あなたにとってのお盆の日付を教えてください」というアンケートをしたことがありました。その結果を見ると、

  80.1% 月遅派 (新暦 7/15+1ヶ月 → 8/15頃)
  10.7% 新暦派 (新暦 7/15頃)
   5.6% 旧暦派 (旧暦 7/15頃 → 今年は 8/27頃)
   1.5% 新暦・旧暦・月遅以外の日付
   2.0% その他(お盆行事を行わない、いつでもよい等)
  (総票数 196)

 となっております。投票数が少ないのは、まだメールマガジンをはじめて1年にもなっていない時期で、読者の数も少なかったからですが、傾向がわかる程度には回答が集まりました。その結果からすると、約8割強の方が月遅れのお盆を「お盆」としていることが判ります。アンケートを行う前から月遅れのお盆が一番多いだろうとは思っていたのですが8割強というのはちょっと驚きです。もう少し「純旧暦派」や「新暦派」があると思っていたのですが。

◇お盆+藪入り = 月遅れの盆
 月遅れのお盆がこれほど広まったのは何故でしょうか?変遷の様子がはっきりしませんので、決めつけるのは危険ですが、敢えて理由を考えると、現代風の「藪入り(やぶいり)」と関係があるのではないでしょうか。藪入りとは、奉公人が主家から休暇をもらって親元などに帰る日のことで、盆と正月の16日前後にこれがありました。昔の奉公人の休みと言えばこの藪入りくらいしかありませんでしたから、奉公先から実家へ帰って家族と過ごすこの「藪入り」は楽しみなひだったでしょう。もちろん実家に帰ってご先祖様のお墓参りも重要なこの時期の行事。お盆という行事が、ご先祖様との繋がりの強い行事ですから、お盆のために帰るとすると、この日付は帰る先のお盆の時期に合致することが望ましい。明治の改暦以後、年中行事の新暦化が進みましたが、お盆に関して言えばその新暦化は、首都である東京近辺に留まり、地方へはほとんど広がりませんでした。地方に新暦での盆行事が広がらなかった理由としては、都市部と違い、農業が主な産業である田舎では、盆行事は農閑期に行われており、新暦に改暦されたからといって、おいそれとその時期を変更することが出来なかったのでしょう。このように、地方での盆行事の新暦化が進まないとなると、普段は都市部で新暦のカレンダーによる生活を送る人達でも「田舎」をもっている人達にとっては、盆行事はご先祖様のお墓のある田舎の事情に合わせる必要があったのでしょう。田舎を持っている人たちにとっては、新暦より旧暦でのお盆がお盆らしいお盆だったと思います。ところが、お盆と言えば「藪入り」という休暇の時期でもあります。休暇に帰って「お墓参り」ですから、お盆と藪入りは一体不可分。ところが、仕事や学校のスケジュールと言えば新暦に沿ったものですから、毎年新暦では日付が変わってしまう純旧暦のお盆では、このスケジュールとの調整が難しい。その結果が月遅れのお盆なのではないでしょうか。もしそうだとすれば、学校の夏休みの期間などを考えると、新暦でも、旧暦でもなく、その折衷案の「月遅れの盆」が一番扱いやすいとして、月遅れの盆がこんなに広がったのではないでしょうか?かなり勝手な私の憶測にもとづく考えですが、こんな感じで「月遅れの盆」が現在の日本の主流となったのではないでしょうかね?皆さんは、どう思いますか??

                          (「2023/08/13 号 (No.6161) 」の抜粋文)
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