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【蜩】(ひぐらし) [かわうそ@暦]

【蜩】(ひぐらし)
 セミの一種。全長約 5センチメートル。全体は栗褐色で緑色および黒色の斑紋が多い。雄の腹部は大きく、薄く半透明で、共鳴器となる。夏から秋にかけ、夜明けや日暮に、高く美しい声で「かなかな」と鳴く。カナカナ。秋の季語。万葉集10「夕影に来鳴く蜩」 《広辞苑・第六版》

 蜩の声というと夕暮れ時を連想しがちですが、実際には夏の朝にも蜩の声は聞こえてきます。日刊☆こよみのページの記事のほとんどは発行当日の朝に書いております。本日の記事も朝に書いておりますが、記事を書き始めた頃に、窓の外から聞こえてきたのは蜩の声でした。夕方ではなく暁方(あけがた)に鳴く蜩を区別して暁蜩(あけひぐらし)と呼ぶことがあるそうで、近頃はその暁蜩の声を聞くことが増えてきました。まだ日中は暑い日が続いていますが、蜩の声を聞く朝夕には涼しい風が吹く心地よい時間が拡がり始めています。「暑いですね」という挨拶の言葉もいつの間にか「朝夕は涼しくなりましたね」という言葉に変わり始めています。蜩の声を聞く頃になると、去りゆく夏の後ろ姿が見える気がします。明日も明後日も、暁蜩の声を聞きながら、去りゆく夏の後ろ姿を眺めることと思いますが、後どのくらいその夏の背が見続けられるでしょうか。あと一月もすれば日刊☆こよみのページの記事を書く朝に、暁蜩の声を聞くことも無くなり夏の背中もすっかり見えなくなって、辺りは秋の色に染まっているのでしょうね。

                          (「2023/08/17 号 (No.6165) 」の抜粋文)
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