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2022-08-24 [twitter投稿]



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地蔵盆(じぞうぼん) [かわうそ@暦]

□地蔵盆(じぞうぼん)
 今日、24日は地蔵菩薩(お地蔵様)の縁日です。お地蔵様の縁日は毎月ありますが、お盆の直後の縁日は少々特別で、地蔵盆とよばれる子供を中心とした行事が、主に近畿地方で行われています。現在の地蔵盆は月遅れの盆の後の8/23~25に行われる行事で、元は地蔵会、地蔵祭などと呼ばれる法要でした。地蔵盆には近隣のお地蔵様を洗ったり前掛けを交換したりし、供物や灯明を捧げたりしてこれを供養します。本来は旧暦の7/24の前後に行われる行事でしたが、現在はもっぱら月遅れの行事となって、8/24前後に行われるようになっています。

◇近畿地方で盛んなのは昔から?
 江戸時代、文化年間といいますから西暦でいうと1804~1818年頃に、和学講談所の会頭をつとめていた幕府の御家人、屋代弘賢(やしろ ひろかた)が各地の風俗を調査するために諸国に送った「諸国風俗問状」に対する回答文書の中に、小浜の「地蔵祭り」についての記述があります。これによれば地蔵祭りは、七月二十四日(当時のことなので旧暦の日付)に路傍の石地蔵を仮のお堂に祭っていろいろの供物、様々な作り物をした子供達が集まり鐘を鳴らして「南無地蔵大菩薩」と唱えるものだったそうです。この地蔵祭りの内容を見ると、当時既に現在の地蔵盆とほとんど同じ行事が行われていたようです(「おかしき作り物」とは、最近日本でも広がっているハロウィンの仮装のようなものでしょうか?)。このコーナーでは毎度お世話になっている守貞漫稿にも、

  七月二十四日 大坂諸所地蔵祭
  大坂市中、諸所ののき下等に壇を作り、棚を架し、地蔵を祭る者ははなはだ多し。
  江戸の稲荷に比すべし。今日、必ず皆これを祭る。

 という記述もあります。また、何で読んだのか忘れてしまいましたが南総里見八犬伝の作者である滝沢馬琴が、この地蔵盆の時期に京都を旅して、夜遅くまで灯明を灯し、六地蔵巡りを行い、また大人達は酒盛りしながら町内問題を話し合ったといった昔の地蔵盆の様子を書き残しています。守貞漫稿の著者、喜田川守貞も滝沢馬琴も共に江戸に暮らした人。江戸で暮らした二人にとっては大阪や京都で行われる地蔵盆は物珍しい行事だったようです。江戸時代生まれではありませんが、現在から半世紀ほど前に東北地方で生まれた私にとっても「地蔵盆」はなじみのない行事ですが、今年は地蔵盆の風習の残る土地に引っ越してきました。実はこの場所には20年ほど昔にも3年ほど暮らしたことがあり、その時には確かに道に面して立っているお地蔵様に沢山の灯明が灯され、日が暮れてから子供達がそのお地蔵様にお参りしている様子を目にしました。初めて目にしたときには「今日はなんかのお祭り?」と不思議に思いながらこの光景を眺めたものでしたが、あれが「地蔵盆」だったんですね。今年も武漢肺炎禍が無ければきっと「現代の地蔵盆」の姿を間近で目にする機会がきっとあったと思うのですが、昨年は目にすることができませんでした。今年はどうかな?

◇子供の六地蔵巡り
 「お地蔵様」という呼び方が定着しているお地蔵様は悟りを求めて修行を続ける菩薩のおひとり、「地蔵菩薩」です。でも地蔵菩薩なんて呼ぶよりやはりお地蔵様という呼び名がしっくりくる、他の菩薩様や如来様とは違ってなんだかグッと身近な存在の菩薩様です。お地蔵様は悟りを求め仏になる(成仏する)ために修行しているわけですがその際に立てた誓いは「全ての人々を救い、成仏させるまで自分は決して成仏しない」というものでした。そのため、今も人々を救うために巡り歩き、辻々に「お地蔵様」として立っているという菩薩様です。このような菩薩様ですから弱い者たちにとってはことさら有り難く、身近な救い主と感じられることが、お地蔵様の人々に親しまれる理由でしょうね。お地蔵様が、とげ抜き地蔵、延命地蔵、子育て地蔵などのように苦難を肩代わりしてくれる身代わり地蔵となるのも、人々を救ってくださる菩薩様だからだと思います。さて、地蔵盆には炎天を避けて、日が暮れてから町内のお地蔵様を巡り歩きます。これを六地蔵巡りといい無病息災・延命長寿の御利益があると言われています。六地蔵とは人々が輪廻する六道、天道、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道をそれぞれ巡る地蔵菩薩で、この六地蔵によって全ての人々が救われるわけですから、一年に一度くらいは、きちんとお礼をしないといけませんね。もっとも、現実の六地蔵巡り行事では、子供達は巡り歩く各所でお菓子がもらえるので、延命長寿の御利益より、目の前のお菓子という現世利益の方がありがたいのかもしれません(この辺りも、なんだかハロウィン行事に似てますね)。武漢肺炎禍も3年目。長引いておりますが多少は落ち着いてきています。そろそろ子供たちが六地蔵巡りをする姿を見ることが出来るかも?期待して今晩を待つことにします。

                         (「2022/08/24 号 (No.5807) 」の抜粋文)

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