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秋彼岸 [かわうそ@暦]

□秋彼岸
 今日、9/20は秋の彼岸の入りです。秋の彼岸は秋分の日を中日として、その前後 3日の計 7日間の期間です。今年は9/20~9/26がその期間となります。彼岸には春と秋とがありますので、これを区別するため秋の彼岸を指す場合は、「秋彼岸」と呼びます。まあ、今の時期に「彼岸」と言えばわざわざ春の彼岸だと思う人はないと思いますので、さほど気にする必要はないと思いますが、一応常識として書いておきます。

◇彼岸は日本の暦にだけ?
 彼岸は暦の上では「雑節」と呼ばれるものの仲間です。雑節の多くは暦が日本に伝来してきて以後、日本の生活に欠かせない日が暦に記載されるようになったもので、日本生まれのものがほとんどです(例外もありますが)。彼岸もそうした日本生まれのものの一つ。彼岸会の談義説法が比叡山の坂本で行われていたのですが、この説法が大人気で、遠く京の都からこの説法を聞くためにやってくる人があるほど。もちろん近隣の人々は沢山つめかけたようです。現在私たちが使っている暦は太陽暦ですので、秋分の日の日付は9/22か23でほとんど変化しませんが、当時の暦では毎年日付が変わってしまいます。うっかりしていると、日付を間違えて説法を聞きに来たときには、彼岸会の説法が終わった後だった何てことにもなりかねない。これでは、説法と楽しみにして集う善男善女が可愛そうと、比叡山が暦に「彼岸」の文字を入るように要請したものです。

◇彼岸と花見
 秋の彼岸と言えば萩の花の咲く頃だなと、ふと思いました。そう言えば、最近は近所の山野に萩の花を見かけるようになりました。萩の花と言って思い出したのは花見。今でこそ「花見」と言えば桜の花で、春の行事となりますが、万葉の頃の「花見」と言えば萩の花。萩の花ですからもちろん秋の行事。ここまで考えたときに不思議なことに気が付きました。春も秋も彼岸の時期に咲く代表的な花の桜と萩がどちらも「花見」の対象だったと言うこと。彼岸と花見、何か関係があるのでしょうか、それともただの偶然か。どっちなんでしょうね?

◇お萩
 秋彼岸と言えば、「お萩」。お萩と言えば、自他共に認めるあんこ好きの私にはたまらない食べ物。お萩は、ぼた餅とも呼ばれますが、秋に作るものはその時期に咲く花の名前から「お萩」と呼ばれます。ぼた餅の方はと言えば、春だから「牡丹の花」で、ぼた餅とか。私の母から聞いた話では、秋のお萩は萩の小さな花に合わせて、少々小振りに作るとか。春のぼた餅は、大きな牡丹の花をイメージしてゆったりとやや大きめに作るそうです。また、萩の花の小さな一つ一つを表すため、餡は粒餡にするのだとか。何かの本で読んだ話では、秋は小豆を収穫したばかりで小豆の皮が柔らかいので粒餡、春は皮が固くなってしまうので漉し餡を使うとも。どっちでもいいのですが、個人的には粒餡のお萩が好きなかわうそです。

                          (「2023/09/20 号 (No.6199) 」の抜粋文)
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