SSブログ

星座占いと暦 [かわうそ@暦]

■星座占いと暦
 「あなたは何座生まれ?」こんなことを聞かれたことはないでしょうか?近頃はTV放送を見ることがほとんど無いので、今もやっているかちょっと不安なのですが、以前はどこのTV局でも朝の番組で今日、一番ラッキーなのはおひつじ座生まれの人なんていう星座占いを行っていましたし、雑誌などで採り上げられることが多いので、きっとどこかでこんなことを尋ねられたことがあると思います。ということで、改めて尋ねてみましょう。あなたは何座生まれ?

◇生まれた星座の区切りの日付
 さて、星座占いの星座の区切りの日付は一般的方式(「トロピカル方式」)では次のようになります。

3月21日 - 4月19日: 白羊宮(おひつじ座・牡羊座)
4月20日 - 5月20日: 金牛宮(おうし座・牡牛座)
5月21日 - 6月21日: 双児宮(ふたご座・双子座)
6月22日 - 7月22日: 巨蟹宮(かに座・蟹座)
7月23日 - 8月22日: 獅子宮(しし座・獅子座)
8月23日 - 9月22日: 処女宮(おとめ座・乙女座)
9月23日 - 10月23日: 天秤宮(てんびん座・天秤座)
10月24日 - 11月21日: 天蝎宮(さそり座・蠍座)
11月22日 - 12月22日: 人馬宮(いて座・射手座)
12月23日 - 1月19日: 磨羯宮(やぎ座・山羊座)
1月20日 - 2月18日: 宝瓶宮(みずがめ座・水瓶座)
2月19日 - 3月20日: 双魚宮(うお座・魚座)

 日付に関しては、1日程度前後することがありますが、大体こんな感じです。さて、この区分ではあなたは何座?ちなみにかわうそは・・・似つかわしくもなく可愛らしい星座です。ま、それはさておき、この区切りはどんな風になされているのか?基本的な考え方は、その時に太陽が何処(普通は黄道座標の経度、つまり黄経の値)にあるかで決められています。その区切りは単純で30°毎に均等に区切られています。ということは、例えば、3/21~4/19のおひつじ座生まれの人が生まれた時には、太陽はおひつじ座にあるんですね。なるほど・・・といいたいのですがおひつじ座生まれの区切りである、黄経0~30°に現在ある星座はというと、おひつじ座ではなくて、そのお隣のみずがめ座です。あれれ?

◇生まれ星座は変わる?
 おひつじ座生まれといわれる期間、3/21~4/19に太陽がある星座が水瓶座である理由は、ある日(ある季節といってもよい?)の太陽と星座の位置関係は、時とともに変化するからなのです。ただ、変化するといっても、その変化は比較的ゆっくり。 1°変化するのにおよそ70年ほど、つまり普通の人の一生分くらいかかります。ですが、こんなゆっくりした変化でも長い時間をかけると、星座一つ分(30°ほど)も動いてしまうのです。これは、「歳差(さいさ)」と呼ばれる現象で、地球の自転軸の向きが空間(星座を形作る恒星の位置に対してといってもよいでしょう)に対して変化する現象を主たる原因とするものです。この歳差の影響で、星座一つ分、30°もずれるためにはどれくらいの時間がかかるのかというと、ざっと2200年。現在の誕生星座占いの星座と実際の星座のずれを考えると、誕生星座占いの形が固まったのは、歳差によって星座一つ分動くほど昔だったのだろうと推測出来ます。2000年以上も前に誕生星座占いなどを思いついた人達は、まさか太陽と星座の位置関係が変わるものだなんて、想像もしなかったんでしょうね(ただし歳差の発見は、紀元前 150年頃の天文学者ヒッパルコスだとされていますから、2000年前でも、気がつく人はいたというわけです。ヒッパルコス、すごい!)。さて、さすがに星座一つ分も違うと目立ってしまいますから、星座占いでは星座占いで使う星座(十二宮)と実際の星空の星座は異なると説明しているようです。また、一方では、現在の星座(正しくは区切りに使う黄経の30°毎の区切りサイン)に合わせて、区切りの日付を変えて対処しようとする考え方もあり前者を「トロピカル方式」後者を「サイデリアル方式」といいます。この説明から分かると思いますが、サイデリアル方式だと何十年か毎に区切りの日付を変える必要があります。これからは生まれた日だけじゃなくて年も考えないと誕生星座が求められないと言うことになるかも?(幸い、現在の主流は、トロピカル方式のようですけれど)。

※どちらの方式でも、計算は黄経の30°毎の区切り(サイン)で考えるので、空に見える星座そのものとはいえません。当たり前の話ですが、星座の星は人間の都合に合わせて30°きっちりで区切れるはずはないからです。

◇星座占いの日付と二十四節気の関係
 さて、本日はなぜか「星座占い入門」みたいな話となってしまった、暦のこぼれ話ですが、最後くらいは暦の話につなげてみましょう。星座占いの星座の区切りが太陽の黄経で決まるということ、暦の上で重要な何かとよく似ていませんか?思い浮かびましたね、そう、二十四節気の区切りと同じ考え方です。現在使われている定気法の二十四節気は太陽の通り道である黄道を黄経15°毎に区切った期間で分けます。区切りの幅が30°と15°という違いはありますがやっていることは同じ。二十四節気の 2つの節気を合わせて考えれば、まったく同じじゃないですか。では、並べてみましょう。
 
 春分 2022年 3月 21日 ( 3月21日 おひつじ座)
 穀雨 2022年 4月 20日 ( 4月20日 おうし座)
 小満 2022年 5月 21日 ( 5月21日 ふたご座)
 夏至 2022年 6月 21日 ( 6月22日 かに座)
 大暑 2022年 7月 23日 ( 7月23日 しし座)
 処暑 2022年 8月 23日 ( 8月23日 おとめ座)
 秋分 2022年 9月 23日 ( 9月23日 てんびん座)
 霜降 2022年 10月 23日 (10月24日 さそり座)
 小雪 2022年 11月 22日 (11月22日 いて座)
 冬至 2022年 12月 22日 (12月23日 やぎ座)
 大寒 2023年 1月 20日 ( 1月20日 みずがめ座)
 雨水 2023年 2月 19日 ( 2月19日 うお座)

 例として求めた二十四節気は、2022~2023年のものです。()は、前述したトロピカル方式の一般的な誕生星座の始まりの日付です。どうです?日の区切り時刻の問題があって、 1日違って見えるところもありますが、これを見る限り、星座占いは、二十四節気占いと言っても間違いじゃない?今は「占いのもの」とだけとらえられている星座占いの十二星座(十二宮の元)ですけれど、その始まりは星座と太陽の位置関係から、季節を読み取るという「暦」としての顔をもったものだったのでした。ね、一応「暦のこぼれ話」だったでしょう?

◇おまけの独り言
 書きながら思いました。星座占いの内容をそのまま、名前を変えて「二十四節気占い」とかして見てもよいのかな?星座占いはどこでもやっているけど、二十四節気占いはきっと無い(と思う)ので、目新しさで需要があるかも。まあ、中身は同じなので羊頭狗肉的で、詐欺みたいですが。動物占いとか、寿司占いなんてものまでもてはやされるのなら、こんないい加減な、二十四節気占いでも、案外受け入れられるかも。占い師「かわうそ@暦」の誕生か、詐欺師「かわうそ@暦」誕生か?

                          (「2022/11/20 号 (No.5895) 」の抜粋文)
nice!(0)  コメント(0) 

2022-11-20 [twitter投稿]



nice!(0)  コメント(0) 

バーベナ ! [ヘッダー画像]

221115no20.JPG
和名:ビジョザクラ(美女桜)
2022.11.15撮影
nice!(0)  コメント(0)