暦の基礎知識・・・干支の書き方と読み方 [かわうそ@暦]
□暦の基礎知識・・・干支の書き方と読み方
2023/04/15を昔の歴史書風に書いてみると「癸卯年閏二月癸卯」という風になります。書き始めてみて初めて気が付きましたが、本日は年と日の干支がどちらも同じ「癸卯」でした。このように年や日を干支で表す方法を干支紀年法と言います。さてこの干支紀年法で表した本日の年と日の干支癸卯は「みずのとの う」と読みます。もしかしたら現在は間の「の」を除いた「みずのと う」と読む方が一般的かもしれません。なんか難しい読みですが、意味を考えると少しわかりやすくなりますので、その意味を示した書き方をしてみると
癸=「水の弟」 なので「みずのと」
これに「卯」がついて、こちらはそのまま「う」と呼んで
癸卯=「みずのと(の) う」
となります。もう一つ比較の意味で昨日2023/04/14 の日の干支「壬寅」もこの方式で書くと
壬=「水の兄」 なので「みずのえ」
これに「寅」がついて、「みずのえ とら」
となります。ちなみに癸卯で「みずのと(の) う」と書きましたが、理由は不明ながら昔から「〇の弟」となる十干のあとには「の」を入れて読む慣習であると教わったので、私の場合はこれに倣って「みずのとの う」を使っています。さて、ここで登場した干支の歴史は古く、中国の殷の時代には既に使われていました。亀の甲羅や動物の骨に刻まれ出土したことから甲骨文字と呼ばれるようになった殷時代の文字には既にこれが存在します。本日は干支について、まず読めそうで読めない干支の読み方など、その基本のところを説明することにします。
◇干支は順番を表す数詞
干支は年や日にちを示すのに使われることが多く、占いの本などにも必ず登場しますが、これは順番を数えるために使われた詞であって、本来は占いとは無関係でした。このため干支自体は「暦注」の仲間とはされないのが普通です。まず干支があって、後から占いがこれを利用するようになったのですが、今では占い以外のことに干支が登場することがまれであるため、干支とは占いのために作られたののように誤解されている気がします。干支にとっては迷惑な話です。十干と十二支を組み合わせて六十干支が出来ます。六十干支は単に干支ともいいます。占いの世界では干支を、天干地支(てんかんちし)などと呼ぶようですが、その呼び名の通り、干支を書く順番は十干(じっかん)が先、十二支(じゅうにし)が後となります。
◇十干
甲(こう・きのえ) ・乙(おつ・きのと) ・丙(へい・ひのえ)
丁(てい・ひのと) ・戊(ぼ・つちのえ) ・己(き・つちのと)
庚(こう・かのえ) ・辛(しん・かのと) ・壬(じん・みずのえ)
癸(き・みずのと)
の10種類。
「きのえ」は「木の兄」のことで、この「木」は木火土金水の五行の中の「木(き)」。「兄」は陰陽を表す「兄(え)」と「弟(と)」の「兄」。ちなみにこの「兄弟(えと)」から、干支全体も「干支(えと)」と呼ぶようになりました。
◇十二支
子(ね・し) ・丑(うし・ちゅう) ・寅(とら・いん)
卯(う・ぼう) ・辰(たつ・しん) ・巳(み・し)
午(うま・ご) ・未(ひつじ・び) ・申(さる・しん)
酉(とり・ゆう)・戌(いぬ・じゅつ) ・亥(い・がい)
の12種類。
今年は「卯年(うさぎどし)」などでおなじみのもの。なじみの有る動物の名前では呼ばれますが、十二支以外では「いぬ」を「戌」と書くようなことはない特殊な使い方です。そのためか、昨今では「今月の犬の日はいつですか」なんて質問をしてくる人も出てきております。音で聞いた「いぬ」をそのまま変換すれば、それはやはり「戌」より「犬」が先に出ちゃいますよね。なお、私の元にこうした質問が寄せられた時には「今月の戌の日のことですね?」と念押してから答えることにしています。
◇組み合わせた場合の読み
干支を組み合わせて使った場合、
甲申 ・・・ 1.こうしん 2.きのえさる
のように読みます。ただ1の「こうしん」と読んだ場合「甲申」か「庚申」か解らないことがありますので、2を使って補足することもあります。この基本を押さえれば読み方はほぼOK。一部には慣習的に甲子と書いて「こうし」を「かっし」と読む場合が有りますが、この辺は特殊例ということで慣れるしかないと割り切りましょう。以上、本日は暦の基礎知識ではあっても案外知られていない干支の書き方、読み方の話でした。慣れれば簡単なんですが、普段の生活で慣れるほど使うことがまずないから覚えるのは案外大変かもしれませんね?
(「2023/04/15 号 (No.6041)」の抜粋文)
2023/04/15を昔の歴史書風に書いてみると「癸卯年閏二月癸卯」という風になります。書き始めてみて初めて気が付きましたが、本日は年と日の干支がどちらも同じ「癸卯」でした。このように年や日を干支で表す方法を干支紀年法と言います。さてこの干支紀年法で表した本日の年と日の干支癸卯は「みずのとの う」と読みます。もしかしたら現在は間の「の」を除いた「みずのと う」と読む方が一般的かもしれません。なんか難しい読みですが、意味を考えると少しわかりやすくなりますので、その意味を示した書き方をしてみると
癸=「水の弟」 なので「みずのと」
これに「卯」がついて、こちらはそのまま「う」と呼んで
癸卯=「みずのと(の) う」
となります。もう一つ比較の意味で昨日2023/04/14 の日の干支「壬寅」もこの方式で書くと
壬=「水の兄」 なので「みずのえ」
これに「寅」がついて、「みずのえ とら」
となります。ちなみに癸卯で「みずのと(の) う」と書きましたが、理由は不明ながら昔から「〇の弟」となる十干のあとには「の」を入れて読む慣習であると教わったので、私の場合はこれに倣って「みずのとの う」を使っています。さて、ここで登場した干支の歴史は古く、中国の殷の時代には既に使われていました。亀の甲羅や動物の骨に刻まれ出土したことから甲骨文字と呼ばれるようになった殷時代の文字には既にこれが存在します。本日は干支について、まず読めそうで読めない干支の読み方など、その基本のところを説明することにします。
◇干支は順番を表す数詞
干支は年や日にちを示すのに使われることが多く、占いの本などにも必ず登場しますが、これは順番を数えるために使われた詞であって、本来は占いとは無関係でした。このため干支自体は「暦注」の仲間とはされないのが普通です。まず干支があって、後から占いがこれを利用するようになったのですが、今では占い以外のことに干支が登場することがまれであるため、干支とは占いのために作られたののように誤解されている気がします。干支にとっては迷惑な話です。十干と十二支を組み合わせて六十干支が出来ます。六十干支は単に干支ともいいます。占いの世界では干支を、天干地支(てんかんちし)などと呼ぶようですが、その呼び名の通り、干支を書く順番は十干(じっかん)が先、十二支(じゅうにし)が後となります。
◇十干
甲(こう・きのえ) ・乙(おつ・きのと) ・丙(へい・ひのえ)
丁(てい・ひのと) ・戊(ぼ・つちのえ) ・己(き・つちのと)
庚(こう・かのえ) ・辛(しん・かのと) ・壬(じん・みずのえ)
癸(き・みずのと)
の10種類。
「きのえ」は「木の兄」のことで、この「木」は木火土金水の五行の中の「木(き)」。「兄」は陰陽を表す「兄(え)」と「弟(と)」の「兄」。ちなみにこの「兄弟(えと)」から、干支全体も「干支(えと)」と呼ぶようになりました。
◇十二支
子(ね・し) ・丑(うし・ちゅう) ・寅(とら・いん)
卯(う・ぼう) ・辰(たつ・しん) ・巳(み・し)
午(うま・ご) ・未(ひつじ・び) ・申(さる・しん)
酉(とり・ゆう)・戌(いぬ・じゅつ) ・亥(い・がい)
の12種類。
今年は「卯年(うさぎどし)」などでおなじみのもの。なじみの有る動物の名前では呼ばれますが、十二支以外では「いぬ」を「戌」と書くようなことはない特殊な使い方です。そのためか、昨今では「今月の犬の日はいつですか」なんて質問をしてくる人も出てきております。音で聞いた「いぬ」をそのまま変換すれば、それはやはり「戌」より「犬」が先に出ちゃいますよね。なお、私の元にこうした質問が寄せられた時には「今月の戌の日のことですね?」と念押してから答えることにしています。
◇組み合わせた場合の読み
干支を組み合わせて使った場合、
甲申 ・・・ 1.こうしん 2.きのえさる
のように読みます。ただ1の「こうしん」と読んだ場合「甲申」か「庚申」か解らないことがありますので、2を使って補足することもあります。この基本を押さえれば読み方はほぼOK。一部には慣習的に甲子と書いて「こうし」を「かっし」と読む場合が有りますが、この辺は特殊例ということで慣れるしかないと割り切りましょう。以上、本日は暦の基礎知識ではあっても案外知られていない干支の書き方、読み方の話でした。慣れれば簡単なんですが、普段の生活で慣れるほど使うことがまずないから覚えるのは案外大変かもしれませんね?
(「2023/04/15 号 (No.6041)」の抜粋文)