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暖房を使い始める適日? [かわうそ@暦]

■暖房を使い始める適日?
 ここ数日でめっきり寒くなりました。寒がりな私は既に1ヶ月も前から寒くなった!といっており、周囲から冷眼で眺められておりましたが、ここに来てようやく世間も私の感覚に追いついてきたようです。やっと時代がかわうそに追いついてきた・・・なんてね?

◇明日は十月の亥の日
 本日は2023/10/7、日の干支は戊戌(つちのえ いぬ)。そして明日10/8の日の干支は己亥(つちのとの い)。おっと、明日は「十月の亥の日」じゃないか。その上ここ数日の寒さ。これは暖房の話をするのにぴったりだ! ということで本日の話の始まりです。何のことかというと、昔から亥の月亥の日は暖房器具の使い始めの日とされてたという話。既に亥の日については、明日の六十干支が己亥ですから、十二支を表す言葉は「亥」。つまり亥の日です。「亥の日は解ったけれど、亥の月の方は?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、その答えは「昔から十月は亥の月とされていたから」です。説明完了(?)。「昔からそう決まっていた」と説明されて、「おおなるほど、そういうものなのだな」と納得してくれる方ばかりなら良いのですが、世の中にはそれでは説明になっていないじゃないかと思う方もいらっしゃるのでは(私です)と思いますので、ちょっとだけその辺の辺の話にふれておきます。「亥の月」の「亥」はもちろん子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥と並ぶ十二支の亥のことです。この十二支は暦の上の年・月・日それぞれに割り振られています。年に降られた十二支は私は亥年(いのししどし)の生まれですのように現在でもよく使われています。これと同様に月・日についても十二支が割り振られています。日についてはすでに例を紹介したとおり。さて、では月にはどう割り振られているかというと

  寅(正月)、卯(二月)、辰(三月)、
  巳(四月)、午(五月)、羊(六月)、
  申(七月)、酉(八月)、戌(九月)、
  亥(十月)、子(十一月)、丑(十二月)

 という具合です。一年は12ヶ月で、十二支も12ですからぴったりなので、年が変わっても月と十二支の関係は変わりません。それで十月はずっと「亥の月」だったので亥月といえば十月を指していると解るようになっています。さて、なぜ十月が亥の月かという話が長引いてしまいましたが、ここからが本日の本題。十月亥の日は暖房を使い始める日という話です。寒くなれば「火」が欲しいと言うように、暖房器具と言えば当然「火」がつきものです。現代のように電気で動作するエアコンなど時代には、暖房といえばもう「火」だったのです。火は暖かく、また明るく、食べ物の煮炊きにも使えれば照明にもなり、寒い冬には暖房として使えます。大変ありがたいものです。ただその反面、危険もあります。火事です。火事は「地震、雷、火事、親父」と最も怖ろしいもの一つとして数えられています。火はありがたい存在だけれど、恐いものでもあります。その勢いが制御出来ないほど強くなっては大変です。そうならないために、この火を制御するものが必要です。それが「亥」なのでした。十二支における「亥」は、五行説では「水気」、陰陽説では「陰気」。水は火に打ち克つ力であり、陰気は猛々しさのない穏やかな力。「亥」には火の力を穏やかに押さえ、制御する働きがあり、そのため亥の日や、猪(=亥)には火事除け、火塞ぎの霊力があると考えられるようになりました。旧暦においては冬の期間は十月~十二月の3ヶ月と考えられておりましたので冬の初めの月である十月は暖房が必要となる最初の月、そして十月の十二支は、火塞ぎの霊力のある亥ですから、暖房使い始めにはぴったりの月。さらにその月の「亥の日」となれば、怖い火災よけにはぴったりの月日といことで、十月亥の日は暖房の使い始めの日とされて、囲炉裏を開いたり、炬燵をしたてたりしたのでした。ちなみに、江戸時代には十月の最初の亥の日(一の亥の日)武家が火を使い始め、町人は武家をはばかって12日後の二の亥の日から火を使い始めたそうです。

◇あれ?
 寒くなったし、明日は十月最初の亥の日ということで、いよいよ待ちに待った暖房使用が始まりますねということで書いておりますが、もう既に気づかれた方も多いことでしょうこの話って、旧暦の十月亥の日の話じゃないの?と。ははは・・・。そのとおりです。季節的に考えるとこの話は旧暦の暦日で話をした方が違和感なく受け入れられるものと思いますが「十月が亥の月」という暦月と十二支の関係は新暦でも変わりませんし、日の干支の割り振りの方式から考えた「亥の日」が明日であることは間違いないので、明日、2023/10/8(新暦)を十月亥の日といっても間違いとはいえまいということで、本日の話といたしました。何より、こう寒くては旧暦の十月の亥の日まで、暖房使用を我慢するなんてことは私には不可能なので、こよみのページのかわうそとして暖房使用のいい口実として使おうと思った次第です。ちなみに、今年の旧暦での亥の日を新暦の日付で表すと

 ・一の亥の日 2023/11/13 (乙亥 旧暦 11/01)
 ・二の亥の日 2023/11/25 (丁亥 旧暦 11/13)
 ・三の亥の日 2023/12/07 (己亥 旧暦 11/25)

 となります。ね、11月の半ばまで暖房使用を待てなんて、酷な話でしょう?

※自白
 白状します。こんなことを書いておきながら、新暦での十月亥の日すら待つことが出来ず、かわうそは昨日から暖房を使い始めてしまいました。お許しください。

                          (「2023/10/07 号 (No.6216)」の抜粋文)

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