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「成人の日」と「成年式」の話 [かわうそ@暦]

■「成人の日」と「成年式」の話
 本日は、成人の日。祝日です。祝日でお仕事(本業)がお休みなので本日はちょっとのんびりこの記事を書いております。自分自身はもちろん、家族にも成人の日に関係する年齢の者はいませんので、祝日の休日という側面だけを満喫させていただいている感じです。

◇成人の日の発祥?
 「問題です、成人の日の発祥地といえばどこ?」こんなクイズがあったとしたら、正解は??おそらく正解は埼玉県 蕨(わらび)市となると思います。現在は日本各地で市町村などの行政機関が中心となって新成人を集め成人式なるものを開きますが、この始まりは戦後間もない1946(昭和21)年 11/22~24にかけて埼玉県の蕨市で行われた第一回青年祭の中の「成年式」がその最初のものだとされています。成人の日に地域性があるとは思えませんが、現在の成人式に連なるような行事を最初に実行したという点で「蕨市が成人の日発祥の地」としてもよいと思います。戦後間もない1946年に蕨市で青年祭・成年式が行われた理由は、戦争によって荒廃した日本の復興の担い手としての青年達にその自覚を促すと共に、彼らを励ますためでした。現在、祝日となっている「成人の日」は、この蕨市で行われた青年祭・成年式の主旨と意義が高く評価された結果です。蕨市では成人の日の元となった成年式発祥の地を記念した「成年式発祥の地記念像」が市内の城址公園に建立されています(私は行ったことがないのですが)。ちなみに、成人の日の発祥の地とも云える蕨市では今でも成人の日の式典は「成人式」ではなくて、1946年当時と同じく「成年式」としています。日付に関しては、現在の成人の日に合わせているようですが。

 【参考】蕨市の「成年式」https://www.city.warabi.saitama.jp/1004289/1004495.html

◇成人の日と青年祭・成年式の日付
 成人の日の元になった蕨市の第一回青年祭が行われた日付はというと1946/11/22~24。現在の成人の日の日付とは、大分隔たっています。この日付を見て思い浮かぶのは新嘗祭の日付である11/23(現在は勤労感謝の日)です。おそらくは、秋の収穫作業も一段落した時期で目出度い日を選んで青年祭を行うことを考えてこの日と、新嘗祭の日付を選んだのでしょう。国民の祝日に関する法律を立法する過程、参議院案として示された「成人の日」の日付は、11/23となっているのを見ても、成人の日制定の過程で蕨市の青年祭・成年式の存在が大きかったことが判ります。ただ「成人の日」と新嘗祭との間に明確な繋がりは見当たりませんので、新嘗祭の日はより関係の深いであろう「勤労感謝の日」という名の祝日にその日付を譲り、かつての成人式にあたる元服の儀などが正月のハレの日を選んで行われていたといったことを考慮して正月の時期に変更されたと考えられます。

※年齢を満年齢で数える現在では、元服する日を正月とすることにはピンと来ない面もあるかもしれませんが、元服などの行事は年齢で区切ると考えれば年齢を数え年で数えるのが一般的であった昔には、1つ加齢する正月に行うことは極自然なことだったはずです。余談でした。

 さてさて、何はともあれ本日は目出度い祝日「成人の日」。『おとなになつたことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます。』という祝日の趣旨に則った成人の日となるといいですね。

                          (「2024/01/08 号 (No.6309) 」の抜粋文)
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