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月齢の話&旧暦日の話 [かわうそ@暦]

■月齢の話&旧暦日の話
 月に関する数値で一番なじみ深いのがこの『月齢』ではないでしょうか。よく使われる数字で、その日の月の様子を示すにはなかなか便利な数字なのですが、細かな点ではよく誤解される数字でもありますので、この月齢について話をいたします。長く日刊☆こよみのページをお読みいただいている方にとっては「おや、また?」と思われる話なのですが、そう思われるくらい繰り返し「よく尋ねられる質問」なので、繰り返しにはなるのですが、時々書かせていただきますのでお付き合いください。

◇月齢とは何を表す数字?
 まずは、最も基本的であり最も重要な話。月齢が意味するものの話です。月齢がどうやって求められるのかを言葉で書けば「月齢とは直前の新月の瞬間からの経過日数」となります。解ったようで解らない説明ですが、じっくり考えれば難しいことを云っているわけではありません。たとえば、たまたま今が新月だったとします。すると、明日の同時刻は新月から1日が経過したわけですから、「直前の新月からの経過日数は1日」で月齢 1.0となります。では明後日の同時刻は、明明後日の・・・。以下同文。


◇月齢に小数点がつくのはなぜ?
 前の説明で「明日」ではなく「明日の同時刻」とくどい書き方をした理由がこの疑問を解く鍵です。日常でも「今日は新月の日」といった使い方をしますが、こうした使い方の場合は新月の時刻なんて意識しないのが普通です。ですが、月齢計算の起点になるのは新月の日付ではなく「新月となる瞬間」なのです。例えばこれを書いている時点での直前の新月の瞬間は、

  日本時 2021年 8月 8日 22時50分 (≒ 2021年 8月 8.95日)

 という具合です。では今日(8月27日)の正午の月齢はといったら

  27日正午を日で表すと ⇒ 27日 + (12時 / 24時間) = 27.5日
  27日正午の月齢を計算 ⇒ 27.5 - 8.95 = 18.55 (月齢)

 このメールマガジンに記載された27日正午の月齢は 18.6。小数点1位まで表示しているのでこうなりますが、中身は上記の計算とぴったりです。

◇今日の月齢って、いつの月齢?
 前の説明でおわかりになると思いますが、月齢計算には日付だけでなく時刻まで必要になります。その点から考えると、「今日の月齢は××」という表現は不正確なことになります。「今日の△時の月齢は××」というべきでしょう。ですがそれではあまりにくどくて煩雑。それで、普通は「△時」を省略してしまうわけです。問題は、この省略された「△時」がいつか。月齢の定義自体にはこの△をいつにするかといった決まりはありませんので、あとは使う人次第というのが実情です。私の場合は、もっぱらその日の代表値として「正午」を用いています。他には午前零時や、世界時零時に当たる午前9時などが「△」として多く使われるようです。△がいつかの共通の決め事はありませんが、きちんとしたデータを提供しているところなら、△はいつかをどこかに明示していると思います。

◇月齢はいくつまであるの
 月齢の数字は、次の新月が来るとまた0(ゼロ)に戻りますから、新月と新月の間(朔望周期)の日数を超えることはありません。朔望周期はおよそ29.4 ~ 29.8 日の間にありますから、月齢もこの数字もこれを超えることはありません。

◇月齢は刻々と変わるの?
 既に説明したとおりで、刻々と変わります。本日正午の月齢が 18.55 、ではその 5時間後はといえば

  18.55 + 5時間 / 24時間 = 18.55 + 0.21 ≒ 18.8

 のようになります。ちなみに、Web こよみのページのトップページの月齢はそのページを表示している日付だけでなく、時刻も考慮して表示していますので、月齢カレンダー(正午の月齢)とは一寸違っています。あ、もちろん正午にトップページを表示したら、同じになりますけど。

◇満月の月齢は?
 「満月の月齢」が決まっていると思っている方は多いのですが、これは間違い。満月の月齢は約 13.9~15.6の範囲で変化します。ですから、月齢15前後が満月であるとは言えても、月齢の数字だけから、本当に満月か否かは判断できません。

◇月齢と旧暦の日付
 「月齢は直前の新月の瞬間からの経過日数」と書きましたが、直前の新月から数え始めるものと言えば、旧暦の日付もそうです。旧暦は太陰太陽暦の一種で、その暦月の期間は新月の瞬間を含む日から次の新月の瞬間を含む日の前日となります。もちろん新月の瞬間を含む日がその暦月の「一日」なわけですが、新月は月の朔望の呼び名では「朔(さく)」なので、この朔を含む日ということで「朔日」と書いて「ついたち」と読むこともあります。つまり、旧暦の日付は新月の瞬間を含む日を一日として、日数を数えますから、新月から数え始めて三日目の細い月は三日月、十五日目の満月か満月に近い月を十五夜の月と呼ぶようになり、暦月半ばの暦月の折り返しの15日に何時も満月かそれに近い月が見えることから、いつしか「十五夜の月」=満月という考えが定着したわけです。こんなわけで、旧暦時代の人々であれば、暦の日付を見ればそれだけでおよその月の満ち欠けの具合が思い浮かぶの当たり前でした。ですから、その当時は「月齢」なんて、わざわざ使う必要はなかったのです。ところが、明治改暦で暦の日付と月の満ち欠けの具合との関係が断ち切られてしまうと、これはちょっと寂しい。単に寂しいだけではなくて、例えば月の満ち欠けと密接な関係のある海の潮の具合を知りたいときには不便になってしまいました。そこで、月の満ち欠けと無関係の暦を使うようになると、旧暦の日付のような月の満ち欠けの具合の目安となる分かり易い数値があると何かと便利と考えられて生まれたのが「月齢」です。ただ、月齢と旧暦日との数え方にはちょっとした違いがありますので、その点は注意が必要。旧暦日は新月の瞬間を含む日を一日としますが、この場合の新月の瞬間が0時でも12時でも23時59分でも関係なくその日が一日。これに対して月齢は月齢の瞬間から数えた経過日数なので新月の瞬間が0時か23時59分かでは大違い(この場合、およそ1.0の差が生じることになります)。それと、旧暦日の数え方は最初が「一」ですが、月齢は 0.0。表現の方法が違うので、この点は注意が必要です。とはいえ、旧暦の日付も月齢の値も、どちらも一目見れば大体の月の満ち欠けの様子が想像できることは同じです。日刊☆こよみのページの今日の暦やWeb こよみのページの月齢カレンダーの月齢表示、あるいは新聞の月齢欄、そしてどこかで見るかもしれない旧暦の日付など見るときには、今日の月齢の話&旧暦日の話を思い出して頂けたら嬉しいです。(「2021/08/27 号 (No.5445) 」の抜粋文)

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2021-08-27 [twitter投稿]



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2021.08.27撮影
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