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彼岸(ひがん) [かわうそ@暦]

□彼岸(ひがん)
 本日は、彼岸の入りです。彼岸は春分の日とその前後 3日の計 7日間。今年は3/17~23が彼岸の期間。彼岸の中日にあたる春分の日は3/20です。彼岸は暦の上では「雑節(ざっせつ)」に分類されます。雑節とは中国から暦が輸入された当時には無かったものですが、日本の生活の上で重要な年中行事や気候の目安となるものが取り入れられたものです。雑節はつまり日本生まれだと言うことになります。雑節や二十四節気まで暦注だと思っている方がいらっしゃるのですが、二十四節気や雑節は暦注ではありませんのでお気を付けて。

◇彼岸とは
 彼岸は仏教用語。元々梵語の波羅蜜多(はらみつた)を漢訳した到彼岸(とうひがん)のことです。煩悩に満ちた此方の世界(「此岸(しがん)」)から解脱した彼方の悟りの世界、涅槃を指します。こちら(此方)の岸とあちら(彼方)の岸という意味で此岸と彼岸です。既に亡くなった先祖は煩悩に煩わされることのない涅槃の世界(彼岸)にいると考えて、彼岸の日に先祖を敬う法要を行うようになり、この彼岸会が現在の彼岸の行事の元になりました。記録に残る最初の彼岸会は大同元年(AD806年)のことです。彼岸会はこのように仏教行事ではあるのですが不思議なことに他の仏教国には無い日本独特のものだそうです。

◇彼岸はどうして暦に載るの?
 昔(彼岸会の)談義説法は比叡山の坂本に限って行われていました。都鄙の人々はこの説法を聞きたいがために群れ集うのだが、その年の彼岸の日付がよくわからないので人々が難儀するからと、比叡山からの要請があって、これを暦に載せるようになった。彼岸会の説法を聞きたいがために人々が群れ集う・・・いろいろな娯楽があふれる現代の感覚で考えると不思議な感じがしますね。ライブ感覚かな?

◇彼岸と春分の日
 彼岸は、春分の日・秋分の日(秋の場合は「秋彼岸」といいます)と関係が深い行事ですが、これには春分、秋分の日が

  1.昼と夜の長さが等しくなる日
  2.太陽が真西に沈む日

 であるということと関係があります。昼と夜の長さが等しいということは、仏教の説く中道の精神を表すのだといいます(実際の昼夜等分の日が春分の日・秋分の日と一致しないことに関しては3/16号のこぼれ話をお読み下さい)。次に、太陽が真西に沈む点ですが、これは涅槃の世界(浄土)が西にあるという「西方浄土」の考えと関係します。春分の日、太陽が沈む方向は西方浄土を示しているわけですから、沈む太陽に向かってまっすぐに進んでゆけばいつか必ず涅槃に到達出来るはずということです。

◇お墓参り
 昔から、彼岸には先祖の霊を敬い墓参りをする風習があります。彼岸がもともと先祖を敬う法要であった彼岸会から始まったことを考えるとこれは当然という気がしますね。地方によりものは異なることがあるのですが、ぼた餅、おはぎ、団子、海苔巻き、いなり寿司などを仏壇に供え、家族でもこれを食すといった風習も多く残っています。お彼岸は、春も秋もそれぞれに過ごしやすく、草花も美しい季節。きっとお墓参りや、お坊さんの説法を聴くついでに、野遊びなんて楽しみもあったのかも。それもいいかもしれませんね。(「2021/03/17 号 (No.5282)」の抜粋文)

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2021-03-17 [twitter投稿]



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