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木枯らしの行方 [かわうそ@暦]

□木枯らしの行方
  凩の果てはありけり海の音   池西言水
  海に出て木枯帰るところなし  山口誓子

 十一月の末あたりから吹き始めた木枯らし。強い北風が吹く度に街路樹の葉はその数を減らし、十二月も終わりに近づいた現在では、街路樹はあらかた裸にされてしまっています。「木枯らし」の名のとおりのはたらきです。日本列島の南側は海。初冬に北から冷たく乾燥した空気を運んできた木枯らしも、「木を枯らす」というその名の示す役割を十分に果たし終え、言水や誓子が詠んだ句のとうり、今頃は南の海に出てしまっていることでしょう。日本の南の海には暖流の黒潮が流れ、そこから先には水温の高い海がずっと広がっています。冷たく乾燥した北風、木枯らしもこの暖かい海の上で一息ついて、暖まり、水分をたっぷり補給していることでしょう。誓子には「海に出て木枯帰るところなし」と詠まれてしまった木枯らしですが、帰ってこないわけではありません。南の海での休暇を楽しんだ後にはちゃんと帰って来るのです。ただし帰るとききには「春一番」と名を変えて。冬を運び、木々の葉をさらっていった「木枯らし」が、春を運び木々の芽吹きをうながす風となって帰ってくる。当たり前の四季の循環ですが、改めて考えてみると、何とも巧く出来ているものだなと感心してしまいます。今年も残すところあと 6日。壁に掛けられたカレンダーを間もなく取り替える頃となりました。まだまだ冷たい北風が止んだわけでは無くて、寒さに震える日々が続きますが、新しく壁に掛けたカレンダーで、春風となって帰ってくるだろう木枯らしの帰還の日はいつかななんて、海に出た木枯らしになったつもりで、その行方をたどって見ると、寒さもいくらかは和らぐ気がしませんか?(しないかな?)(「2020/12/26 号 (No.5201) 」の抜粋文)


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2020-12-26 [twitter投稿]



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ヤブコウジ(藪柑子)の実 ! [ヘッダー画像]

201222no79.JPG
撮影日:2020.12.22
JA直鞍なのはな畑
※赤い実を付ける植物はお正月の縁起物
一両(アリトウシ)/十両(ヤブコウジ)/百両(カラタチバナ)/千両(クササンゴ)
万両(ヤブタチバナ)/億両(ツルキシミ・ミヤマキシミ)

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