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旧正月は三番目の月? [かわうそ@暦]

□旧正月は三番目の月?
 本日(2024/02/10)は旧暦の元日。新暦では二月ですが、旧暦では今日から正月です。そんなわけで、今日は旧暦の正月の話を一つ。

◇十二支と旧暦月
 旧暦の正月は立春に近い位置に置かれており、月を表す十二支では寅の月となります。唐突に何の話? と思われたかもしれませんが、まあお付き合いください。今年は2/4が立春でしたから、今日は立春から7日目。説明のとおり旧暦の正月は立春に近い日に始まっています。日刊☆こよみのページでは何度も干支(えと)の話をしてきましたが、その説明の中で干支はそれを構成する十干も十二支もともに順番を表す数詞の一つでして生まれたものです。十二支についていえば暦の月の順番を表す特別な記号(数詞)として生まれたものでした。現在の旧暦(変な表現ですけれど)では正月は「建寅月」とよばれます。これは寅の月の意味で、十二支の順に数えた寅の順番の月ということを意味します。

◇正月なのに十二支の順番は三番目
 旧正月を表す干支は「寅」という話、常識的に考えてなんだか変な感じがしませんか? だって、正月と言えば一年最初の月。それなのに暦月の順番を表すために生まれた十二支で表すと3番目の「寅」。普通に考えたら正月を表す十二支の最初、「子」となりそうですがね?その十二支の最初の「子」が表す「建子月」はいったい何月かいうとこれは十一月となります。なぜこんなことになったのでしょうか? その答えは旧暦の作り方に示されていました。『旧暦時代(日本で太陰太陽暦が正式な暦だった時代)、作暦はまず前年の冬至を含む月である十一月を決定することからはじまった。』なるほど、最初に決まる当時を含む月が「子」の月とされ、それから順番に数えていったというわけですね。日本や中国で使われて来た太陰太陽暦の特長の一つとして一年の始め(正月)を立春前後に置いていたことをあげる方がいらっしゃるのですが、それは結果的にそうなっただけの話で、そうしようとしてそうなったわけではないのです。でもここで「常識」に立ち返ってで考えてみたら、冬至を含む建子月から暦月の順番を数えるなら、建子月を十一月ではなく正月して数え始める方が自然じゃないですか? 現在、旧暦と呼んでいる暦の正月は建寅月ですが、元々は建子月が正月だった時代があったのではないでしょうか。暦の歴史を遡って見ると、どうやらそんな時代があったようです。それは、日本に暦が伝来するよりずっと古い時代のこと、古代中国の周王朝の時代です。

◇三種類の「正月」・・・三正
 周王朝の暦は冬至を含む月を「正月」として、年の始めと考えていました。ですから周王朝の末期に暦月の順番を示すために生まれたとされる十二支は周王朝の暦の併せて建子月を正月とし、ここから順に「子丑寅卯・・・」と割り振られました。暦作成もまずは「正月」に当たる「建子月」を求めるところから計算をはじめたというのも、至極もっともな話です。そしてこの「子の月」を正月とする暦は周王朝の暦でしたから、周正(しゅうせい)の暦と呼ばれるようになりました。周王朝風の正月の暦というような意味です。中国では、古代の三つの王朝、夏・殷・周はそれぞれ違った正月を採用していたと考えられています(神話・伝説による部分も多分にある話ですが)。それぞれの王朝での正月は

   夏正(建寅月が正月)
   殷正(建丑月が正月)
   周正(建子月が正月)

 であったと考えられました(三つまとめて「三正」という)。現在の旧暦は建寅月に正月をおきましたから「夏正の暦」ということが出来ます。

◇「夏正」の暦の勝利?
 漢の時代以後の暦は一部の例外はありましたがそのほとんどが夏正の暦を標準とするようになり現在に至ります。約二千年もの長い間ずっと、十二支の三番目の寅の月、建寅月を正月とする夏正の暦を使い続けていましたから、いつしか「太陰太陽暦は立春付近に正月をおく暦」だと誤解されるに至ったわけで、太陰太陽暦には正月を建寅月におかなければならない理由があるわけではないのです。そして漢王朝の暦の正月が現在の位置に決められても、十二支によってあらわされる暦月の順番は周代に決められた時からの連続性を保ったため、正月が十二支の 3番目に当たる寅の月(建寅月)となってしまったのでした。旧正月が十二支の三番目の寅の月になっている理由には暦自身がたどった長い歴史があったのでした。

                           (「2024/02/10 号(No.6342) 」の抜粋文)
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今日(2/10)のお月様は【新月】です [かわうそ@暦]

◆今日(2/10)のお月様は【新月】。
今日の月は日の出の頃に昇り、日の入りの頃に沈みます。空に昇っている時間は概ね太陽と同じ。日食でも起こさない限り、月の在処はわかりません。旧暦では、この新月の日が暦月の一日(朔日)となります。

◆お月様の基礎データ
・新月の瞬間は 2/10 7時59分 (月齢は 0.0)
 ※新月とは、月と太陽の黄経の角度差が0度となる瞬間です。
・月出:2/10 6時57分 月没:2/10 17時32分 (東京での時刻)
・南中(真南に見える瞬間):2/10 12時10分 (東京での時刻)
・南中時の月と地球の中心距離は 358500 km (平均距離の 0.93倍)。

 月は平均より 26500km近く、見かけの大きさはいつもより大きいです。

                           (「お月様のお知らせメール」の抜粋文)
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